PR

 わが国でも「CIO(最高情報責任者)」というシャレた肩書きを名刺に刷り込んだエグゼクティブが増えてきた。いま多くの企業は,ビジネス戦略家となる新世代のCIOをますます求めつつある。

 あるコンサルティング会社の調査によれば,こうした「新世代CIO」は,勤務時間の少なくとも半分を,インターネットを利用したeコマース戦略の企画・立案や開発・実践など情報システム部門以外で費やしている。また,新CIOの15%が企業の役員会メンバに組み入れられ,70%が経営企画などの上級経営チームの一員となっている。10年前なら,おそらくこれらの数値は0%と10%程度だったと思われるから,大幅な役割の向上だ。

 一般的に情報システム担当役員や情報システム部門長をCIOと呼んでいる。しかし,多くのCIOはこれまで自分の額に「技術屋」の刻印が押されているかのように感じてきたはずだ。企業のトップ・レベルの経営チームはもとより,他の部門の運営を任された経験すらほとんどなかったからだ。だが新CIOと言われるエグゼクティブは,裏方の技術屋から,CEO(最高経営責任者)やCOO(同業務執行責任者),CFO(同財務責任者)などと同等の立場となる企業戦略立案者への昇格を大いに楽しみ始めている。

 CIOにも歴史がある。第1世代のCIOは,情報システム部門,つまり大型コンピュータが設置されたデータセンターの管理者など技術屋の集団で構成されていた。情報システムを日々遅滞なく運営するおもり役である。第2世代は,80年代後半から喧伝された戦略的情報システム(SIS)という企業プランニングに関与する点で第1世代より発言権が増したものの,社長直轄の経営立案部門よりワンランク下のレベルだった。だが現在,インターネットのおかげで,CIOは企業の意思決定に直接参加しつつある。企業の役員会が,ビジネス競争でリードを保つために,いかに技術的な専門知識が欠かせないかを理解しつつあるからだ。

 この第3世代のCIOを,前世代までのCIOと区別するため「インターネット・エグゼクティブ」と呼称する動きもある。新CIO,すなわちインターネット・エグゼクティブの必要性は,ネット革命による避けられないトレンドとなっている。インターネット革命は,ほとんどの業界の市場力学を一夜にして変え,企業に市場の変化と同じ速度での対応を迫り,さもなくば企業消滅へのカウントダウンを開始する。CIOの役割は,コンピュータ・システムの面倒を見ることから,ビジネスのやり方全体をインターネットを活用して再定義できるインターネット・エグゼクティブに変わろうとしている。

 しかし,今のCIOがインターネット・エグゼクティブにすべて持ち上がれるのかどうかは分からない。新しい責任には,より多くの時間を企業経営陣や顧客の両方と過ごすといった新しい義務も伴う。これは特殊用語で会話してきたCIOにとって苦痛かもしれない。またCIOを集団としてみると,細部にこだわり大勢を見逃しがちなメンタリティを持っている。インターネットがあらゆる変化をもたらしているにもかかわらず,多くのCIOは未だに技術を信奉し過ぎて,職務や業務の戦略面や顧客サービスを無視している。

 ある経営コンサルタントは,「CIOや情報システム部門管理者の大きな問題は,ネット革命で自分たちの仕事がいかに変わったかを,周囲に明快に説明していない(説明できない)ことだ」と話す。典型的なCIOが宿してきた,過分に慎重で分析的で,悲観的でなおかつデータしか信じない実績主義者というパーソナリティを,果敢かつ創造的で,多少楽観的な面を併せ持つビジョン提供者に近づけるよう変えていく必要があるだろう。