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 製造業で製品を設計するためのCAD(コンピュータ支援による設計)システムには,2次元CADと3次元CADがある。2次元CADは,XY座標の2次元平面上で図面を描くシステムで,米Autodesk社の「AutoCAD」が有名だ。一方,3次元CADは,XYZ座標を持つ3次元空間上で部品やアセンブリを設計できるシステムである。

 2次元CADは80年代から普及しはじめ,現在でも多くの企業が利用している。しかし,解析や製造など設計以外の工程まで考えれば,最初から3次元で設計したほうがよいのは明らか。こうした考え方から,今日多くの企業が競って3次元CADシステムを導入している。

 とはいえ3次元CADシステムは,ミッドレンジ価格帯のシステムで100万円前後,ハイエンドのシステムでは数百万円にもなり,決して安い買い物ではない。この値段がネックになり,導入を躊躇している中小企業も多い。だが,この価格の壁を一挙に破壊するかもしれないサービスが登場した。

 なんと,タダの3次元CADが米国で誕生したのである。米Alibre社の「Alibre Design」がそれだ。

 Alibre社はASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)となり,3次元CADソフトを提供する。ホームページからクライアント・ソフトをダウンロードすれば,WWWブラウザで3次元CADが使える。このWWWブラウザ上の3次元CADが無料なのである。

 では,Alibre社が何で儲けるかというと,インターネットを経由して3次元モデルデータを複数の設計者で共有したり,複数の設計者間でコラボレーション(協調)設計したりすることに,月額/年額で課金するのである。

 同社は30日間のフリー・トライアルを提供している。これに申し込めば,クライアント・ソフトがダウンロードできる。データの共有や協調設計を行わず,従来のCADと同じように,パソコン上でスタンドアロンで使う分には,一銭もかからない。

 2次元CADの分野では,すでに無料CADが市民権を得ている。建築分野で多く使われている「JW_CAD」だ。このJW_CADも,初めて登場したときは2次元CADベンダに大きな衝撃が走った。2次元CADとは比較にならないくらい開発が難しい3次元CADが無料となると,3次元CADベンダに与えるインパクトはきわめて大きいだろう。

 技術がある程度成熟してくると,ソフトの価格が安くなることは避けられない。CADベンダにとっては,CADに関連したサービスやサポートで差異化を図らなければ生き残れない時代になってきたと言えそうだ。