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 国内の大手半導体メーカーから1999年度の決算が出され,おおむね好調に推移していることを印象付けた。好調なゆえに今後の各社がどの市場にどのように注力していくかが注目される。

 ネットワーク機器などの市場は大きいが,全く足を踏み入れていない市場を開拓していくことは望むべきではない(本当は開拓していってほしいが)。やはりここは地に足のついた市場を見ていくべきだろう。国内の半導体各社が挙げる有望市場はパソコン,携帯電話,そしてディジタル家電である。

 このうち携帯電話は確かに伸びは著しい。ほんの数年前まではほとんどなかったような市場が急激に成長して昨年で2億7000万台,今年は4億台を超えようという勢いである。ここ数年,パソコンがテレビの生産台数を抜くかどうかと騒がれたが,携帯電話はアッという間に追い抜いて,世界で最も台数の出る機器になってしまった。今後も携帯電話の発展を疑う人はいないだろう。

 携帯電話では日本が世界をリードしていることもあって,半導体市場で携帯電話向けがパソコン向けを抜く時代が来ると期待も出てくる。その現実性はどうなのだろうか。例えば,米IDCの調査ではパソコン向け半導体市場は1999年で426億ドル(約4兆3000億円)だという。これに相当する携帯電話向けの半導体市場のデータは手元にはないが,パソコン1台に搭載される半導体は数万円はするのに対し,携帯は2000円程度と考えると,恐らくまだ一ケタ以上市場規模が違う。ただし,台数は極めて多い。そうした市場の特性を見極めていかにもうかる分野を見つけ出すかが重要だろう。

 それとパソコン向けには一つ注釈が付く。パソコン向けが426億ドルとは言え,そのうちの約半分は1社が持っていっているのである。その残りを1社以外の半導体メーカーが分け合っていることになる。それに対し携帯電話は,今後100億ドルにもなる市場を多くの半導体メーカーで争っている。そういう意味でもチャンスは大きいのかもしれない。

 それではディジタル家電はどうなのだろうか。ところがそもそも「ディジタル家電」とはどのような製品を指すのかという問題に突き当たる。99年度に売れた家電製品でディジタル家電と呼べるような商品を探すとなると苦労する。DVDプレーヤは該当するとしても,デジタルカメラは家電,それともパソコン周辺機器だろうか。携帯型オーディオ・プレーヤが今年が普及元年とも言われているが,まだ姿は見えない。結局は,年末から始まるBSデジタルに大いなる期待しているようにも見える。

 WSTS(世界半導体市場統計)の予測によると,2000年の世界半導体市場は対前年比+30.6%と急成長し、1951億ドルに達するという。1999年度が好調だったとは言え,海外の半導体メーカーに比べればかなり見劣りした国内メーカーである。今年は,海外メーカーにも負けない利益を挙げるためには,市場を見極めた,横並びではない投資が求められている。

(中村 健=BizIT編集委員)