eラーニング関連のセミナーや展示会が盛り上がっている。そこには,人材力が日本企業再生へのカギを握るといわれるなかで,「e-ラーニング」の導入が企業における教育研修を飛躍させるとの期待感が示されているようだ。

 eラーニングの標準化と普及をめざす先進学習基盤協議会(ALIC)とTBTコンソーシアムが共催で2月8日と9日の両日,米国のeラーニング標準化推進団体であるADL(Advanced Distributed Learning)テクニカル・アドバイザーのPhil Dodds氏の講演会を行う。当初は1日だけの予定だったのが,受講希望者が会場の収容数を大きく上回ったため急きょ,開催日を増やしたという。

 このセミナーは,Dodds氏がeラーニングのプラットフォームの標準化をめぐる最近の動きについて講演し,ついでALICのメンバーらが日本における標準化への取り組みを説明するというもの。

 eラーニングの標準化というと難しそうだが,実はeラーニングの普及に向けて非常に重要な意味を持っている。ここでいう標準化とは,eラーニングのプラットフォームを標準化しようということだ。eラーニングの標準として「AICC」が策定されたが,XMLとインターネット技術を用いた新標準として「SCORM」が作られ,現在は米国をはじめ世界のベンダーがSCORMに賛同する流れになっているという。

 プラットフォームの標準化ができないと,教育研修コンテンツの共通化ができない。ユーザーからすると,たとえば社内教育研修用に複数のコンテンツを使いたいといった場合に,特定の1社のコンテンツだけを利用するのでなければ,複数のプラットフォームが必要になる。

 コンテンツ提供者もプラットフォームごとにコンテンツを作り分けなければならない。標準化ができないと提供者にとっても,ユーザーにとっても負担がかかるわけで,eラーニングのプラットフォームやサービスを提供する企業のなかには,標準化はeラーニングの普及に向けて不可欠との声が強い。

 ALIC,TBTコンソーシアムはこうしたeラーニングの標準化に向けて,日本での共通プラットフォームの試作や接続運用テストなどを共同で行っている。この時期,米国の標準化団体に講演を依頼したのも,eラーニングの標準化の必要性を訴え,日本におけるeラーニング化の流れを確実なものにしたいとの思いがある。

 「標準化というとっつきにくいテーマにも関わらず,受講希望が殺到するのはeラーニングへの関心の高まりを示すものだ」----主催者側は手応えを感じているようだ。

2月にeラーニング関連のセミナーや展示会が相次ぐ

 このほか2月は,eラーニング関連のセミナーや展示会のラッシュである。ざっと見ただけでも,期待度がお分かり頂けるだろう。

 たとえばDodds氏は,2月6日から横浜で開催される「教育マルチメディア大会~ITを活用した教育研修の最新動向を探る」(日本能率協会主催)でも「欧米におけるラーニングテクノロジースタンダードのトレンド」と題して講演する。同大会に併設する形で教育マルチメディア展やビジネスキャリアデザイン展などが開催され,出展社にはNTT-X,日本IBM研修サービス,野村総合研究所などeラーニング関連の企業が名を連ねる。

 続く2月7日から開かれる日経BP社のNet&Com21では,同展としては初めてeラーニングに焦点を当てた「eラーニング・パビリオン」を開設する。同展の出展社には,NTTラーニングシステムズやスマートリンク,マクニカなどの名前が挙がる。

 ベンダー企業などによる単独のeラーニング関連のセミナーなどもこの時期に,相次いで開催される。2月2日に日本ヒューレット・パッカード(HP)は,同社の「hp opensystem seminar February 2001」で「E-learning動画コンテンツ=ナレッジバスケット」を紹介する。

 ナレッジバスケットとは,ビジネス・ビデオをもとに構築したマルチメディア・アーカイブで,「インターネットやイントラネットと組み合わせれば,最小の手間と投資でオンライン教育システムの構築も可能」としている。

 6日には組織人材開発分野のコンサルティングで実績のあるウイルソン・ラーニング・ワールドワイドが,e-Learningフォーラムを開く。e-Learningを用いた企業内教育研修の事例紹介を行う。同じく6日にはマクニカが,提携関係にある米Centra SoftwareのCEOであるLeon Navickas氏の講演とともに,同社の製品を使った日本でのITトレーニングの事例などを紹介する。

 これらの催しは独立しており,短期間に集中したのでは参加者が分散してしまうのではないかと心配になりそうだが,セミナーなどの参加申し込み状況からすると,それぞれ盛り上がりを見せているという。

 標準化団体だけでなく,個別の展示会やセミナーも活況を呈しているようだ。それだけ産業界を中心に,eラーニングへの関心が高まってきたということでもある。単なるeラーニングへの関心からもう一歩踏み出し,個々の企業がeラーニングを使って戦略的に人材を育成しようという動きになったときに,日本企業の人材力強化が本物になるだろう。

(松本 庸史=教育事業センター長)