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 手帳を開いて明日のスケジュールを確認してみると,夕方に会議の予定が入っている。一週間に一度,定期的に開催しているプロジェクト会議だ。会議といっても,部署ごとの担当者が進ちょく状況を報告するだけ。こんな会議,なくせば良いのに・・・。誰しも一度はこのように思った経験があるだろう。

 ところが,多くの人が無駄だと思っている会議であっても,これが大抵の場合はなくならない。これは,「会議には出席することに意義がある」と考える人が,少なからず存在するからだ。目的は二の次。そのような人が,役職に就いている場合も多い。

現場の社員からは提案しにくい「会議の削減」

 こうした状況下では,部下である社員が「無駄な会議はなくしましょう」とは提案しにくい。そんなことをしたら,会議賛成派の上司に何を言われるか分からないからだ。単に本人から反対されるだけならまだいいが,他の上司に「あの部下は仕事に対するやる気がない」とでも吹聴されたら,社内での居心地が非常に悪くなる。

 このため,現場の社員が一人の力で無駄な会議を排除するのは難しい。これが,必要のない会議がいまだに残されている最大の理由である。しかし,無駄な会議は企業の生産性向上を阻害する。景気の低迷が長引く現在において,企業にそんな余裕はないはずだ。

 そもそも,会議を単なる連絡会にとどめておくのは,非常にもったいない話だ。本来は,会議は企業が短時間で最適な決断を下すうえで非常に有効な仕組みである。なぜなら,(1)複数の参加者から必要な情報を吸い上げて,(2)それを材料にして議題を様々な視点から検証して,(3)その場で意思決定ができるからだ。

 もはや企業には,非生産的な会議を放置する余裕は残されていない。一刻も早く,無駄な会議を廃止するとともに,会議を有意義な場にするための取り組みを開始するべきなのである。

 会議の改革が社員一人で実現できなければ,自らがチェンジリーダー[用語解説]となって,周囲を巻き込めば良い。全員の賛同を得られなくても,役職の高い人といったキーパーソンを味方に付ければ,会議の存続にこだわる勢力を抑えられる可能性は高い。

 企業における会議の見直し方を提案するため,日経情報ストラテジー編集部では,企業の会議に対するあり方を問う「正しい『会議』のススメ(仮題)」という記事を掲載することにした。

会議の見直しにおけるポイントは2つ

 この企画で動き始めた当初は,正直言って戸惑った。企業が会議を見直すためのポイントがつかみ切れていなかったからだ。そこで,経営コンサルタントを含め,様々な方面から意見を聞いた。その結果,次の2つが浮かび上がってきた。

(1)会議の目的が明確になっているか
(2)会議を上手に進行する人が議長を務めているか

 まず(1)である。会議には,「定例会議」や「部課長会議」といった目的があいまいなものが少なくない。こうした会議が単なる連絡会であれば,廃止しても差し支えない。情報を伝達するだけであれば,電子メールや電子掲示板で事足りるからだ。

 一方,「販売促進会議」や「商品開発戦略会議」といった会議であれば目的が明確なため,事前の準備がしやすい。会議中の議論も,的を射たものになる可能性が高い。

 次に(2)である。会議では,特定の人が自分の意見を強硬に主張して,他の参加者が発言する機会を奪うことが少なくない。これを放置していれば,会議の結論が偏ったものになる恐れがある。このため,会議で建設的な議論を行うためには,参加者に発言の機会を平等に与える議長が不可欠。こうした議長を育成するための仕組みづくりが必要だ。

 ゼネラル・エレクトリック・キャピタル・コンシューマー・ファイナンス(本社東京)は,社員の会議運営スキルを重視している。同社は,プロジェクトの進ちょくを管理する専門部署を設置している。この部署の社員は,事前の研修によって,会議を効率的に進行するスキルを身に付けている。

 大規模なプロジェクトを実施する際には,この部署の社員が必ずメンバーの一員として参加。プロジェクトに関する会議が開かれる場合,その社員が必ず進行役を務めるという。

 現在,本誌では不要な会議を廃止したり,会議を活性化させることに成功した先進企業を取材中だ。取材の結果に関心のある方は,「日経情報ストラテジー」2002年9月号(2002年7月24日発売)の特集記事をご一読いただければ幸いである。

(長谷川 博=日経情報ストラテジー編集)