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 提案書作成の効率化を図る上で,過去に作った提案書を再利用するケースはよくあること。だが,いかにも“使いまわし”と分かったり,“つぎはぎ”的な提案書がユーザー企業に評価されることはない。

●ダメな提案例(3) 「提案書が無駄に分厚い」

 提案内容を詳細にまとめた提案書は,分厚いものになりがちである。これもユーザー企業からは敬遠されることが多い。

 ある情報システム部長は,「提案書に求めるものは,第一に自分たちの要件を満たしていること,第二にそれを実現するコストやプロジェクト体制などの実現性が妥当であること」の2点だと話す。これらが即座に分からないような分厚い提案書は,「内容を整理できていない証拠」と見なされることがある。

 もっとも現場の担当者が,プロジェクト計画やシステム構成などの詳細な情報を求める場合もある。そうした担当者には,詳細情報を「補足資料」として作成し,通常の提案書とは別に提出すればいい。

組織的な取り組みが欠かせない

 いかがだろうか。以上のパターンに心あたりがある提案をしている人は,IT Proの読者の中にもいるのではないだろうか。では,こうしたパターンに陥らないためにはどうしたらよいのか。

 そのカギの1つとなるのが,提案活動を「プロジェクト」として捉え,組織的に取り組むことだ。

 ユーザー企業の悩みは膨らむ一方である。例えば,「売上や利益に貢献する情報システムを早く,安く構築しなければならない」「情報システムが取引先とつながり,データの整備やアプリケーションの見直しに迫られている」「インターネットの普及とオープン化の進展で,どの製品・技術をどのように選択していいか分からない」――など様々だ。当然,ITベンダーには,そうした課題を解決する高度なソリューション提案を求めている。

 高度なソリューションを生み出すには,多種多様な知識や経験,スキルが必要となる。まずソリューションそのものを考え抜くための,業種・業務やITに関する深い知識。加えて,要件のヒアリング時にはインタビュー力やコミュニケーション力,問題の整理・分析にはロジカル・シンキングのスキル,提案書の作成には文章や図解の技術,提案コンペではプレゼンテーション能力が求められる。1人だけの力でこれらをすべてカバーするのは,もはや不可能と言ってよい。

 そこで,「提案」をプロジェクトとして捉え,組織的に取り組むことが必須となる。複数の担当者の知識や経験,実績を加味しながら,より質の高い提案書へと高めるのである。組織として取り組めば,提案書の作成時間を短縮できるほか,属人的な面も排除され,提案の品質そのものが安定する。いわば提案活動を「再現性」のあるものへと高められる。

 最近では,NECや富士通,日立製作所など,大手ITベンダーを中心に,提案書の作成にかかわる様々な情報をデータベース化する動きが活発化している(日経ITプロフェッショナル11月号を参照いただきたい)。こうした取り組みも,提案書の作成を早め,再現性のあるものに高める上では欠かせないだろう。

 ユーザー企業は,「自分たちの悩みをともに感じ取り,それを一緒に解決してくれるパートナー」を切に求めている。それを肝に銘じて,今こそ腰を据えて提案力を磨いていただきたい。

(池上 俊也=日経ITプロフェッショナル編集)