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 「イベント・ログを見よう」「マイクロソフトのサポート技術情報を検索しよう」。この2つは,Windowsのトラブル解決を語るときに必ず出てくる言葉だ。しかし,実際トラブルに遭遇したとき,これらを使って解決に至らなかった人は多いだろう。初めてトライした人のほとんどは,何の役にも立たなかったかもしれない。

 Windowsのトラブル解決は,非常にやっかいだ。Windowsの仕組みは複雑で,トラブルの要因も多様化しているからだ。求められる知識は幅広く奥が深い。このため,いきなりトラブルの解決に取り掛かった人は,「ログに出てくる用語や説明を読んでも理解できない」「ログを基に技術情報を調べたが,たくさん情報があり過ぎて原因を特定できない」――など,出鼻をくじかれることが多いだろう。

 こうした悩みを抱えている方が,自力で解決できるようになるスキルを身に付けるために少しでもお役に立てれば,と思い,トラブル対応に強いプロの技術者に取材した結果を日経Windowsプロの12月号の特集1としてまとめた。

3つのアプローチに分けて実践

 プロの技術者は,何か特別なことをしているのだろうと思っていたが,そう聞いてみると,意外な答えだった。「イベント・ログを見て,マイクロソフトのサポート技術情報で調べる」を繰り返しているだけなのだ。ユーザー・サポート部門に配属されて2年目の技術者も,「特別なことはしていない。問い合わせの電話を受けて,技術情報を調べながらそのトラブルを解決するだけ」と話す。

 「イベント・ログ」と「サポート技術情報」を使うだけなら普通の人と変わらないように思える。しかし,プロの技術者たちは,この非常にシンプルなアプローチを本当に実践していた。基本的な考え方は,「1つのエラーにこだわらず,複数記録されたエラーの全体をとらえながら,絞り込んでいく」というものだ。

 一般的には,記録されているエラー・イベントをすべて調べようとしがちだが,それでは苦労する。プロのやり方にはコツがある。最初からトラブルに関係ないエラーは細かく調べない。関係がありそうなもののエラーの傾向をつかんでから,最後に細かく調べていく。このため,結果的に手間と時間がかからないという。

 具体的には,(1)エラー・イベントの傾向を見つける,(2)的を絞ってエラー・イベントの詳細を分析する,(3)最後にサポート技術情報を検索する――である。

 (1)は,例えば複数のイベントの中からエラー・イベント間で依存関係があるかどうかを調べ,根っこにある最初のエラーを見つけ出すことである。エラー・イベントの依存関係は,サービス同士のものもあればデバイスとサービスに絡むものなど様々ではあるが,“根っこ”が見つかれば,1つのエラーに対処するだけで複数のエラーを一気に解決できる。

 (1)で判明したエラー・イベントの詳細を見ていく作業が(2)である。ここでのポイントは,エラーの内容の手掛かりをつかむための情報や,エラーの症状を特定するキーワードが隠されているので,それを見つけることだ。例えば,フラグやエラー状態コード,戻り値などに書かれている数値は,エラーの症状の一部を表すキーワードになる。

 これらは一例であるが,このように傾向を見つけて的を絞っていけば,関係のないエラーに惑わされずにすむ。このため,エラーの内容を早く突き止められる。上記のアプローチを実践する技術者の多くは「1日に4,5件のトラブルを普通にこなせる」という。早い人になれば,「イベント・ログに記録されたエラーの9割は,10分程度でどういう内容か理解できる」というから驚きである。

エラー検索は,「機能はよいのに内容がこれでは使いものにならない」

 さて,特集では“ある理由”で掲載できなかったが,注目しておきたい機能が1つある。「Windowsのエラー検索機能」である。

 この機能は,エラー・イベントの内容を詳細に知りたい,あるいは対策が知りたいといった場合に,手軽に利用できるエラーの検索機能である。個々のイベントの説明欄の最後に,「詳細な情報は,http://go.microsoft.com/fwlink/events.asp の[ヘルプとサポート センター] を参照してください。」と記述されている。このリンクをクリックすると,エラーの情報を表すイベントIDなど様々な情報を送信し,Microsoft内のデータベースを検索できる。

 もしこれを有効に活用できれば,上記3つのアプローチのうち(2)と(3)に要する時間を大幅に削減できる。様々な理由で避けていた初級の技術者も,内容を理解できなくても,対策までこぎつけられる。

 このように期待できる機能なのだが,残念ながら現時点では,データベースに格納されている情報が充実しておらず,実務ではほとんど役に立たない。取材したほとんどの技術者も,「機能はいいのに,内容がこれでは使い物にならない」と口をそろえる。これが特集に掲載できなかった“理由”である。

 サポート技術情報翻訳サービスの提供など,サポートに対するMicrosoftの昨今の取り組みは,評価できる。だが,とりあえず機能を作っておいて,後で実務に耐えられる内容を実装するというやり方には疑問を感じる。このエラー検索機能も機能としては有用なものだと思うので,一刻も早く,Windowsエラーの検索データベースを充実させてほしいものだ。

(小野 亮=日経Windowsプロ)