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 いきなりだが,読者の方はWindowsサーバー上で利用できるマイクロソフトのサーバー製品をどのくらいご存じだろう。SQL ServerやExchange Server,Systems Management Serverは,たぶんかなりの人が知っているのではないだろうか。Office SharePoint Portal ServerやBizTalk Serverくらいも,もしかしたら知っているかもしれない。

 では,Identity Integration ServerやOffice Live Communications Serverはどうだろう。これらがユーザー情報を交換したり,社内でテレビ電話やインスタント・メッセージングなどを実現する製品だと,どのくらいの人が知っているだろうか。

 筆者は,日経WindowsプロでWindowsの専門記者として何年間も仕事をしてきている。そのため,通常の人に比べれば,マイクロソフトの製品についてかなり詳しいと思っている。しかし,それでも,製品数が増えてくるにしたがって頭の中で混乱することがよくあり,果たして世間の認識はどうなのだろうと疑問に思うことがあった。

 そこで,5月末にマイクロソフトのサーバー製品の利用度あるいは認知度に関するアンケート調査を実施してみた。日経Windowsプロで毎週2回配信しているメール・マガジン「IT Pro-Windows Reviewメール」で案内し,Web上のアンケートに回答してもらう形を取ったところ,228人からの回答を得た。

 対象とする製品は,アンケートの実施時点で国内販売していないものや,Windows本体の追加機能として追加ライセンスなしで提供されているものを除いた14製品。これらの製品について,「会社で使っている」「使っていないがよく知っている」「名前または概要だけを知っている」「知らない」の4つの選択肢から選んでもらった。

予想以上に知られていないサーバー製品

 その結果,筆者の想像以上にマイクロソフトのサーバー製品の認知度は低いことが分かった。

図1●マイクロソフトのサーバー製品に関する利用度または知名度
(図をクリックして拡大表示)
 比較的多くの回答者が導入しているSQL ServerやExchange Serverでは,「知らない」と答えた回答者もそれぞれ1.8%と3.1%と圧倒的に少ない。しかし,それ以外については,製品を知らないという回答者が格段に増えてくる(図1[拡大表示])。例えば,システム管理のSystems Management Serverは18.0%,インターネットと接続するInternet Security and Acceleration Server(ISA Server)は32.9%,システム間連携をするBizTalk Serverは33.3%,社内で情報共有するOffice SharePoint Portal Serverは41.7%の回答者が「知らない」と答えている。

 これ以外の製品はさらに少なく,半数以上の回答者に知られていない。電子商取引サイトを構築するCommerce Serverは50.0%,Webアプリケーションを管理するApplication Centerは50.4%,プロジェクトを管理するOffice Project Serverは56.1%,Webコンテンツを管理するContent Management Serverは60.5%,文書の利用を制限するRights Management Servicesは62.3%,メインフレームと接続するためのHost Integration Serverは67.1%の回答者が「知らない」と答えている。初めに書いたIdentity Integration ServerとOffice Live Communications Serverに関しては,それぞれ75.9%と71.5%と実に約4分の3の回答者に知られていない。

種類の多さや複雑さが製品への理解を阻害

 アンケートに答えてもらったのはIT Pro-Windows Reviewメールの読者で,Windowsサーバーを使っているなど,比較的Windowsに興味のある人のはずである。それでも,このような調査結果になってしまったのはなぜだろう。

 今回のアンケートでは,マイクロソフトのサーバー製品に関して日ごろ感じている不満や疑問についても聞いている(図2)。この中でほぼ並んで多かったのが「製品の種類が多すぎて把握しきれない」(72.8%)と「製品間の依存や連携など関連がよく分からない」(72.4%)の2つの意見である。このことから考えると,やはりサーバー製品の数が多く,しかも,それらの間での依存関係(例えばあるサーバー製品を動作させるためにSQL Serverが必要になる,といった関係)などが複雑になっていることが製品への理解を阻害していることが推測できる。

図2●マイクロソフトのサーバー製品に関して日ごろ感じている不満や疑問(複数回答)

ユーザーはより柔軟な製品構成を希望

 では,今後マイクロソフトが製品情報の提供に力を入れてくれば,これらのサーバー製品は使われるようになるのだろうか。アンケートの自由記入欄に寄せられた意見を見ると,どうもそう単純にはいかないようだ。

 これらの意見の中で目立つのは,製品の機能構成に関する不満である。「製品が多くあるが,機能の単位をどのような観点で分けて複数の製品にしているかに疑問を感じる」(機械/電気・電子機器製造,30代),「社内インフラだとExchange,Systems Management Server,Projectあたりが必要だが,どれもすべての機能は必要としない」(コンピュータ/関連機器メーカー,30代)といったものが代表的だ。

 このことが前述した不満や疑問の調査で3番目に多い約6割の回答者が指摘する「価格が高い」という問題にも関連しそうだ。例えば,「1つの機能が欲しいだけなのにいろいろ付けられて結局高価になる」(機械/電気・電子機器製造,30代),「シンプルな機能+低コストなものを現場では望まれる」(ソフトハウス,20代),「単なるメールだけならExchange Serverはオーバー・スペック」(その他製造業,30代)というのが典型的な例だろう。「OS・各製品間のバージョンの問題があり,数が増えると将来のリプレース時に同時にアップグレードしなければならないことが起こるとコストに不安を感じる」(金融/証券/保険,40代)という意見もある。

 つまり,ユーザーとしては不必要な機能は使わずに,しかも一部に古いバージョンが混在していても使い続けられるような融通の利く利用環境など,製品を導入する上での安心感を求めているようだ。今後のマイクロソフトの新製品開発に当たっては,新機能の追求だけでなく柔軟な組み合わせが可能なことを意識するのが重要になりそうだ。

(根本 浩之=日経Windowsプロ)