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 もじら組やMozillazine日本語版を見ると,IEとの非互換の話題を中心に「標準に準拠していないサイトが閲覧できなくても,(標準準拠の動作をするFirefoxは)正しい」という論調が,ベテラン回答者を中心に強く見える。正論ではあるが,単なる利用者には IEで見れないページが見れないという不便でしかない。IEの代替ブラウザを本気で目指すならば,清濁あわせ呑む対応も必要ではないか。

 実質的にIEで表示できることが標準という現状では,どちらがよりW3C標準に準拠している,していないという議論にはあまり意味がないと思うので,もっとIEとの互換性を高めていってほしい。

 WebページやWebアプリケーションだでなく,ツールバーなどのIE専用のプラグイン・ソフトのため移行できないという声もあった。

 IEでのみ動作するプラグインが相当数に上り,IEも残念ながら手放せない。プラグイン開発者が,MozillaあるいはFirefoxを商業的に無視できなくなるように,普及のスピードが速まることを期待している。

操作性はOperaやSleipirのほうが優るという意見も

 互換性のほかには,機能面での要望もある。OperaやSleipnirといった高機能ブラウザが持つこんな機能が欲しい,という意見が多い。Operaは,ノルウェーOperaが開発しているWebブラウザで,有償版もあるが,広告を表示させる無償版も利用できる。

 タブ・ブラウザと謳っているが,同じタブ・ブラウザのOperaは,リンク先が別ウインドウで開こうとするとタブで表示されるのに,[CTRL]キーを押しながらでないとタブ表示されないので,不便である。

 私は,重要HPを「名前を付けて保存」で「アーカイブ,単一ファイル」で保存している。Firefoxはそれがないので,不自由している。また,メール・マガジンでURLをクリックしてもInternet Explorerが立上がり,不便な思いをしている。

 Operaを使用しているが,今は,これが一番使いやすい。1.文字サイズを大きくできるのでテレビでWebを見れる。2.範囲を指定し,それをメールで送れる。3.お気に入りにフォルダを作成し,そのフォルダにあるショートカットを1クリックで開ける。4.マウスジェスチャがある。

 記者がわかる範囲でお答えしておくと,Firefoxでは「QuickTabPreftoggle」という拡張機能(プラグイン)で,デフォルトでウインドウではなくタブが開くように設定できる(インストール後,拡張機能の設定で指定する)。

 マウスジェスチャとアーカイブ機能も拡張機能として提供されている。マウスジェスチャ拡張機能は「Mouse Gestures」など複数あるので,お好みのものを使用すればよいだろう。アーカイブ機能は「Mozilla Archive Format」を試用してみたところ,日本語のディレクトリ名/ファイル名は扱えないが,日本語Webページは問題なく保存できる。ただし,いずれの拡張機能もメニューは英語である。

 また,メールのURLから起動するWebブラウザは,OSのデフォルト・ブラウザかメール・ソフトの設定するブラウザのいずれかなので,それらの設定を変更することでFirefoxを呼び出すことが可能になるはずである。

 Sleipnirを高く評価する声も多かった。Sleipnirは,Yasuyuki Kashiwagi氏がIEのコアを使用し,タブ機能など様々な機能を付加したブラウザである。

 Sleipnirなどのように,ActiveXやJavaScriptなどを簡単にOn/OffできるIEベース・ブラウザが増えてきたため,「セキュリティ面の向上」などといっても「ActiveXが『使えない』」だけじゃないか」,と感じてしまう面がある。

 IE前提で作られたサイトを表示させると崩れたりするので,今はSleipnirにした。

 Sleipnirほどの使いやすさ,カスタマイズ性に達していないのが残念。

 Sleipnirは次期バージョンでGeckoエンジンとIEコンポーネントを選択できるようになる。セキュリティ問題は基本的に描画とスクリプト処理のエンジンに起因している。Firefoxのインタフェースは不出来(拡張機能は万能ではなく,本体のバージョン・アップに即応しないベンダーが少なくないほか,組み合わせ次第では予期せぬ不具合も起きる)だが,Sleipnirのインタフェースが利用できるようになればGeckoエンジンを利用しやすくなる。IEでしか利用できないサイトではIEコンポーネントを利用し,ふだんはGeckoエンジンを用いる,といった手軽なセキュリティ対策も可能となる。だから私自身はFireFoxにはあまり興味をもてないが,軽くて速いGeckoエンジンは高く評価できると思っている。

 このようにSpleipnirの評価は高いが,まさにこのアンケートを実施する直前,Sleipnirの作者が盗難にあい,開発用パソコンが盗まれてソースコードが失われたという事件が発生した。Sleipnirの開発が中断するかもしれないという。記者もSleipnirや,同じ作者による画像処理ソフトPictBearを使用したことがあり,その機能の豊富さと,個人で開発されたという事実に感動した。一刻も早く事件が解決し,ソースコードが作者の手に戻ることを心から祈っている。

 パソコンやソフトウエアはあくまで道具,というコメントもいただいた。実は声なき大多数を代表する意見かもしれない。普及のためには,非専門家や初心者に対する配慮も欠かせないだろう。

 Firefoxの利点は理解できますが,乗り換えるかどうかは,乗り換えの労力の少なさと,費用(労力)対高価にかかっていると思います。私は,公私ともにPCのかなりのヘビー・ユーザーだと思っていますが,PCやソフトは趣味や知識の対象ではなく,効率化のための単なる道具にすぎないからです。正直なところ,ダウンロードとインストールの手間さえ,嫌気がさします。メール・ソフトはアウトルック以外を使っていますが,これは,Windowsの設定ウイザードがうっとうしく,アドレス帳などがOSとブラックボックス的に一体化されているのに嫌気がさし,別のメール・ソフトをインストールする方が楽に感じたためです。

 CSSを正しく解釈できるなど,Firefoxの基本機能は申し分なく,ぜひ普及してほしい。ただ,「プラグインによる機能拡張」は,スキルのある人間には便利であっても,一般の人間にとっては敷居が高すぎる。IEを超える普及を目指すなら,PC初心者が何も考えずにすぐに利用できるレベルの扱いやすさ(例えば,いくつかの基本的なプラグインはあらかじめパッケージ化されているなど)が必要だと思う。

「IEとFirefoxを使い分ければいい」という意見も

 また,記事自体についてのご批判も頂戴した。

 この記事に対してだが,Internet ExplorerはUNIX版は存在していた。訂正すべきと思う。

 IEにはSolaris版とMacOS版がかつて存在していた。ただ,どちらも現在はバージョン・アップが停止しており,論旨を分かりやすくしたいとの判断から触れなかったが,ご指摘のとおりその点にも触れておくべきだったかもしれない。

 二者の対決という構図は状況を正確にあらわしてはいないと思います。テキスト・エディタのように複数のアプリケーションを使い分けるような方向になるのではないでしょうか?

 確かに,普段はFirefoxなどを使用し,IEでなければアクセスできないページだけIEを使うことで,セキュリティ面での危険を軽減することは可能だ。無理にどちらかに絞るのではなく,両方を併用すればよい,というコメントもあった。

 IEとの互換性が言われているが,IE前提で作られている業務アプリについてはIEで動かせばいい話で,無理に互換性を持たせる必要はない。Firefoxは「軽くて,使いやすいブラウザ」に特化すべき。

 アンケートのコメントのほか,記事自体へのフィードバックにも様々なご意見をいただいた。フィードバックを見ればお読みいただけるので全文引用はしないが,多かったのは,Netscapeが低迷した原因についてのご意見だ。まず「Netscapeは一時期有料だった点が抜けている」との指摘があった。指摘のとおり,Netscapeが完全にNavigatorを無料化したのは98年1月。それまでは90日間は無料で使用できるという形態だった。

 また,IEがOSにバンドルされていることの影響を過小に見ているのではないかという意見もあった。「大企業は『指定ブラウザ』ですが(うちも長い間Netscape指定でした。今はIE),中小企業層と個人はなんでもいいのです。特に無料でついてくるのにお金をかけてソフトを購入する中小企業経営者はほとんどいません」「ほとんどの一般ユーザーは、ブラウザがIEであるかNetscapeであるかなど意識することはありません。単純に,プリインストールされている,デフォルト・ブラウザである,そういうブラウザを使っているだけです」という指摘だ。

 当たり前だが,IEが普及した理由はひとつだけではない。記者は,バンドルされていたことも大きな理由だが,Microsoftの開発陣がIEの改良に心血を注いだことも事実だと感じている。

 最も重要なことは,公正な競争が行われ,競い合う中で技術の進歩が促進されることだ。

 独占状態は,結局技術力の向上を停止させてしまう。複数競合で技術力を向上させていくことが,インターネットの未来を変えていく。

 現在のブラウザは技術革新の中枢にあるため,単独の企業が独自のロードマップでリリースすることに抵抗を感じます。オープンソースのブラウザがシェアを高めることは,結果として標準に基づいた新しい技術が世に出やすくなることを意味し,ITによる明るい未来にもつながると考えます。

 そのためには,ユーザーが自由にソフトウエアを選択できる環境がなければばならない。私たちも,自由な選択ができる環境を整えるために情報を提供し,事実を伝えていくという役割を果たしていかなければならないと考えている。

(高橋 信頼=IT Pro)