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 単に不要なシステムが完成するだけでなく,既存の業務に悪影響を与えるケースすらあります。「中途半端に使える」という表現をされていますが,業務効率を下げている以上,システムが業務改悪をもたらしたといえるでしょう。


全く役に立たないのなら使わないからまだいいのですが,中途半端に使えてしまうシステムというのも困りものです。Q2ではそういう意味で「ない」とさせていただきました。うまく設計すれば二次的な業務を激減でき,業務の効率化が実現されるはずですが(それも目的の一つのはずですが),中途半端なシステムを使わざるを得ないがために,二次的な業務がかえって増えるという本末転倒な状態に陥っています。事業部のトップがあまり情報システムに興味を示さないのもありますが,実は,情報システムの使い手はトップではなく,トップは実情を分かっていないという現実もあると思っています。現状を把握していない以上,問題意識も生まれ難い。また,全社的な情報システム部門が各事業部と深くかかわっておらず,情けないことに私の所属する事業部では情報システム専任者がおりません。掛け持ちで既存のシステムの保守をやろうとしていますが,それで太刀打ちできるような話ではないと思っています。
(ユーザー)

使えないシステムが生まれる理由はさまざま

 では,なぜこういった不要なシステムが生まれるのか。この点についても,様々なご意見をいただきました。なかでも記者が驚いたのは,システムを開発するのに,「システムを開発する目的がはっきりしていなかった」というご意見が何件もあったことです。以下に実際のご意見を紹介します。


1.目的が不明確。イメージだけで作ろうとする。2.システムがない時の業務執行体制ができていない。普段からきちんとした報告,業務管理,情報共有がされていなければ,システムができても同じこと。
(ユーザー)


お題目としての目的は示されるが,利用形態を想定したシナリオが示されない。トップや利用者部門がシステムを利用した時のイメージをほとんんど持っていない。
(ユーザー)



目的が曖昧。システム部門が主導しユーザ不在の要件でできあがってしまった。
(ベンダー)

 目的がはっきりせずにシステムを開発すれば,役に立たないものが完成しても不思議はありませんが,一体どのような過程を経て,目的のはっきりしないシステムの開発が決まったのでしょうか。当然,こういったシステムは開発の際にもきちんとした要件定義などを実行することもできません。もしこういったことが日常的に起きているとすれば,日本企業のIT活用は未来永劫,不可能でしょう。

 最近になって,情報システムの「見える化」といった言葉で,改めてシステムを開発する目的やその効果を定量化しようという試みが活発になっています。定量化の作業は,システム開発に関係する人間に従来になかった負荷を強いることになります。ですが,現実に目的のはっきりしないシステムがごく当たり前のように開発されているのであれば,システムの企画段階で,効果の定量化などを通じて目的を明確にさせる意味は大きいと思います。

泣かせるトップ,上司は開発部門の敵なのか?

 ではなぜ,目的のはっきりしないままシステムの開発が進むのでしょうか。いただいたご意見は大きく三つのパターンに分けることができます。