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2005年はx64元年

 第2のポイントは,今まで胎動が続いていた「x64」がいよいよこの世に誕生するということだ。Windows XPとWindows Server 2003のx64 Editionが2005年前半にリリースされる。利用できるメモリーがWindows XPで32Gバイト,Windows Server 2003(Enterprise版とDatacenter版)で1Tバイトと,大幅に広がる。従来の32ビット・アプリケーションも高速に稼働する点が,Itanium用64ビットWindowsとの違いだ。

 x64向けのアプリケーションとして,「SQL Server」「BizTalk Server」「Commerce Server」などが2005年にリリースされる。これは大容量メモリーを生かした大規模システム向けの製品である。

 クライアントPCで大容量メモリーを本当に必要とするのは,Longhornまで待たなければならないと私は思っている。Longhornでは,高品位ディスプレイ上でビデオを多用するような新しいグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)「Avalon」(開発コード名)が実装される。32ビット・アーキテクチャの時代は,DOSからWindowsのGUIへ移行して初めて本格化した。これと同じように,64ビットの普及は単なる必要メモリー容量の増加ではなく,質的な変革が引き金になるはずだ。64ビット時代の意味をわれわれが知るのは,GUIが単なる「窓型」から,より高い表現力を備えた「体験型」に移行したときだろう。それは2005年よりもっと未来の話である。

SQLとVSは同時に出る

 第3のポイントは,今まで延ばし延ばしになっていた「SQL Server 2005」(Yukon)と「Visual Studio 2005」(Whidbey)がいよいよ2005年後半に出るということだ。両者は密接な関係にあるため,同時にリリースされるだろう。2005年後半は7月から12月まで幅広いが,開発の遅れやマーケティング上の調整を見込んでも,秋には出るのではないか。予想外のことが起こっても,もう名前に「2005」と入れてしまったので,今年中に出さないわけにはいかないだろう。

 SQL Server 2005は,(1).NETの実行環境である「.NET Framework 2.0」の統合,(2)可変長で型宣言に関係ない「XMLデータ・タイプ」のサポート,(3)Visual Studio 2005(Whidbey)によるサーバー・サイドの開発――などなどの特徴を備えている。同時に出る「Visual Studio 2005」も.NET Framework 2.0の開発環境であるだけでなく,チームが共同で開発するための機能が搭載されている。

 「日経Windowsプロ」では4月号からこの新しいデータベース・ソフトを連載で解説していく予定だ。また,日経WindowsプロのWebサイトでは,日本のVisual Studio 2005の開発者の方々に,エッセイを執筆してもらっている(「Visual Studioの開発現場から」)。

セキュリティの総合力を発揮するMicrosoft

 以上3つのポイント以外に,追加しておきたいのは,セキュリティがやっぱり重要だということだ。

 最新のセキュリティ・パッチを適用する作業は,今やウイルス対策ソフトの最新パターン・ファイルを適用するのと同じくらい重要になっている。同社は,現在Windows向けの更新機能「Windows Update」を,Microsoft製品全般に広げる「Microsoft Update」に置き換えるといっている。また,企業内で更新サイトをホストするソフト「Software Update Services(SUS)」を「Windows Update Services(WUS)」にバージョンアップする。さらにシステム管理ソフトを統合した「System Center 2005」やスパイウエア対策ソフト「Windows AntiSpyware」がリリースされる。Microsoftはこれまで自社製品に様々なセキュリティ対策を講じてきたが,2005年はその総合力を発揮する年となりそうだ。

 他にも2005年には,数々の話題がある。Windows XPは2001年の発売以来,主力OSとしては異例の長期間居座ることになりそうで,それがどのような影響をもたらすのか。Microsoftにとって新たなる脅威Googleへの対応をどうするのか――などなどである。1年が過ぎてみると全然違った様相を見せているかもしれない。

(木下 篤芳=日経Windowsプロ)