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 図3[拡大表示]のローカルの管理者権限をエンドユーザーに与えるかの結果も混沌としている。ローカルの管理者権限をエンドユーザーに与えると,エンドユーザーが勝手にアプリケーションや周辺機器を追加できたりするため,厳格なクライアント管理は難しくなる。逆に,ローカルの管理者権限をエンドユーザーからはく奪すると,エンドユーザーによるメンテナンスが不可能になるので,すべての管理をシステム管理者が担当しなくてはならない。

図3●ローカルの管理者権限
図4●クライアントのセキュリティ更新
 よって,ローカルの管理者権限をエンドユーザーに与えるかどうかは,集中管理型と分散管理型を決定付ける最大の要素であるのだが,図3のグラフを見て分かるように,従業員規模による傾向の変化は全く見られなかった。

 図4[拡大表示]のクライアントのセキュリティ更新については,少し傾向が見てとれた。まず,「エンドユーザーに任せている」と回答した割合は,従業員規模によってあまり変化がない。しかし,システム管理者がセキュリティ更新を実施しているという回答の詳細を見ると,「管理ソフトを使ってシステム管理者が更新作業を自動化している」という割合は,従業員規模が大きくなるにつれて高くなった。

 もちろんこれは,「数が増えると手作業は無理」という当たり前のことが確認されただけである。

つまりは「やるか」「やらないか」だけ

 結局,システム管理者は,クライアント管理を「集中管理型」で行くか「分散管理型」で行くか,自社の環境に応じて,自分自身の判断で決めなくてはならない。そこで特集記事では,システム管理者が決断しなくてはならないポイントをまとめたほか,4人の優れたシステム管理者に,自身の決断を披露して頂いた。

 彼らの決断した内容については,記事を参照して頂きたい。ここでは,彼らを取材して筆者が強く感じたことを紹介したいと思う。

 筆者はこれまで,クライアント管理のことを「多数のパソコンの面倒を見ること」だと考えていた。そこで意識されるのは,まず第一に管理コストであり,最近だとセキュリティの保護であろう。

 しかし現在,企業で働くほとんどの人が,パソコンを使って仕事をしている。パソコンの使い方が,仕事のやり方と同義になっている。つまりクライアント管理とは,パソコンの使い方の管理を通じて,従業員の働き方を規定することに他ならない。従業員の働き方は,管理コストやセキュリティだけで決められるものだろうか。

 優れたシステム管理者は,従業員の働き方に細心の注意を払ってクライアント管理の方針を決めていた。会社や従業員にとって,Windowsパソコンが何のためにあるのか考え,その目的に沿うように,クライアントを管理していたのだ。

 パソコンが「必要不可欠な道具」と認識されるようになった今日,「パソコンが何のためにあるのか」を深く考える機会が減っているように感じている。もしあなたの会社でクライアント管理の方針が迷走しているとき,「パソコンが何のためにあるのか」を振り返ってみてはいかがだろうか。

 なお本調査には,1672人の方にご回答をいただいた。ご協力くださった方に,ここで改めてお礼を申し上げたい。回答者のうち6割がシステム管理者で,4割がエンドユーザーだった。回答者の勤務先は製造業が約35%を占め,ソフトハウス/情報処理サービスが15.7%,システム・インテグレータ/コンサルティングなどが13.4%,サービス業が10.5%だった。製造業やIT産業以外の回答は少なかった。官公庁/大学/病院/各種団体が7.7%,流通業が3.6%,金融機関が1.6%である。よって本調査では,業種によるクロス集計は行わず,勤務先の従業員数別によってクロス集計を実施している。その点をご了解いただきたい。

(中田 敦=日経Windowsプロ)