米Webmergers.comが7月に発表した調査によれば,2000年1月から2001年6月までの18カ月間に,業務停止(shutdown)に追い込まれたドットコム企業の総数は,555社に達した。これは統計を取り始めた時点で存在したドットコム企業全体の約60%に達するという。

 有名,無名あわせて,ドットコム企業がバタバタと倒産していることは知っていたが,改めてこうした統計を見ると,いまさらながらネット・バブル崩壊の規模とスピードを思い知らされる。同調査結果が発表された直後の7月上旬に,オンライン小売業者大手の米Webvanが業務閉鎖に追い込まれたが,これをもってBtoC業界の淘汰に一区切りがついたと見られている。

 月別の業務停止件数の推移を見ると,昨年春のバブル崩壊直後より,むしろ2001年に入ってからの方が,増加に拍車がかかっている。555社全体の60%にあたる330社が2001年上半期に業務を停止している。この数は2000年同期の約9倍にも達する。物凄いペースで,ネット産業の淘汰が進んだのだ。

 ネット産業(ドットコム業界)を分野別に見た場合,業務停止の嵐は最初BtoC業界を吹き荒れた。2000年に業務停止したドットコム企業の73%は,オンライン・ショッピングなどを中心とするBtoC業者だった。しかし2001年に入って様相が変わった。

 2001年前半には49%にまで落ちたのだ。代わって増加してきたのが,インターネット・コンサルティング会社,インターネット・プロバイダーやe-businessソフトなどを開発するインフラ業者,また電子商取引のなかでも企業を対象にしたBtoB業者である。業務停止したドットコム企業全体に占めるインフラ業者の比率は,2000年の8%から今年上半期には15%に増加した。いわゆるASP(Application Service Provider)も苦しんでおり,2001年上半期には14社が業務停止に追い込まれた。

 業務停止とともに,ドットコム企業の買収も記録的なペースで増加している。

 今年上半期に買収されたドットコム企業の数は336社,買収に費やされた総額は290億ドルに達した。買収されたドットコム企業を業界別に分類すると,まずポータル系サイトの買収が多くみられ,やがて金融系サイトや旅行サイト,医療・保険サイトなどへと広がっていった。2001年に入って多くなったのが,e-businessソフトなどを開発するインフラ業者が買収されるケースだ。

 ただ月別の買収件数・金額の推移を見ると,買収は峠を越えたようだ。数字を見ると,買収総額は2月の85億ドル,買収件数は3月の154件でピークを打っている。見方を変えると,主力ドットコム企業の買収が2001年上期にかなり進んだともいえる。

 この1年余りドットコム業界に吹き荒れた暴風雨が,ようやく過ぎ去ろうとしている。買収などによって企業淘汰が進み,新たな飛躍に向けたエネルギーも溜め込まれている。ネット・バブル崩壊によって,実に多くの教訓やノウハウが蓄積された。怒涛のような反攻が始まる時期も近いかもしれない。

(小林 雅一=ジャーナリスト,ニューヨーク在住,masakobayashi@netzero.net

■著者紹介:(こばやし まさかず)

1963年,群馬県生まれ。85年東京大学物理学科卒。同大大学院を経て,87年に総合電機メーカーに入社。その後,技術専門誌記者を経て,93年に米国留学。ボストン大学でマスコミの学位を取得後,ニューヨークで記者活動を再開。著書に「スーパー・スターがメディアから消える日----米国で見たIT革命の真実とは」(PHP研究所,2000年),「わかる!クリック&モルタル」(ダイヤモンド社,2001年)がある。

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