PCIバスの標準化を行っている業界団体のPCI SIG(Special Interest Group)が,AGP(Accelerated Graphics Port)対応をやめるようにワークステーション・ベンダや半導体メーカに働きかけていることが明らかになった。

 PCI SIGの主張は,「PCI-Xの方が,性能や使い易さなどの点からAGPに勝る」というもの。またPCI SIGとInfiniBandワーキング・グループの代表者は,「PCI-XとInfiniBandは競合するもではなく補完し合うもの」と,LSI設計者やOEMに向けて宣伝活動を行っている。

 具体的にPCI SIGは,米Sun Microsystemsや米Apple Computerなどに対し,マザーボードからAGPバスを外してはどうかと働きかけている。またグラフィックス・チップ・ベンダには,PCIモードをPCI-X対応にアップグレードするように促している。

 PCI SIGの主張は次の通り。「AGPバスとPCI-Xバスの性能はともに約1Gバイト/秒でほぼ同じ。クロック周波数133MHzで64ビット幅のPCI-Xバスは,最高1.066Gバイト/秒でデータを転送できる。4倍速のAGPバスは最高1.056Mバイト/秒。PCI-XはAGPよりも若干だが広い帯域幅を持つことになる」(PCI SIG)。

 PCI SIGはさらに,「PCI-Xは複数のスロットを扱える。複数のグラフィックス・カードを動かせる。AGPではスロットが一つしかない」「Sun社やApple社などは,システムにAGP対応のグラフィックス・カードを採用している。しかし,マイクロプロセサやチップセットではIntel社に依存していない。PCI-Xバスは特定の企業に依存しない技術なので,Sun社やApple社に適している」と主張する。

 「AGPをまったく必要ないと主張しているわけではない。ワークステーション用途で,場合によってはAGPを使う必要がないということ。PCI SIGがLSIベンダに求めているのは,PCIインタフェースをPCI-Xにアップグレードしてくれという点。ちなみに現在パソコンのグラッフィクス・カードにはAGP対応版とPCI対応版が存在している」(PCI SIG会長のRoger Tipley氏,所属は米Compaq Computer)。

 これに対して「PCI SIGの主張は一方的だ」と話すアナリストもいる。米Jon Peddie AssociatesのJon Peddie氏は,「PCI-XとAGPには一長一短がある。帯域幅に関する議論では,Intel社の設計を用いるかどうかという単純な点で話し合われるべき」と語る。

 一方のIntel社は,「AGP仕様は固定しているわけではなく,現在も改良を続けている」と主張する。すでに8倍速(8X)仕様に向けた「Beyond AGP 4X」グループを立ち上げている。

 「ハイエンド向けのグラフィックス・カードは,消費電力が最大110Wと非常に大きい。AGP Proは,この点でPCI-Xに適している。それにAGPはライセンス料が不要だが,PCI-Xでは大幅にディスカウントをしても1ライセンスにつき25ドルが請求される」(Intel社ワークステーション・プラットフォーム・マーケティング部門担当役員のKevin Shearman氏)。

 グラフィックスLSIベンダの米Nvidia半導体ベンダやSun社,Apple社などコメントは得られなかった。

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BizITによる注

(1)PCI-X:PCI-Xは,既存のPCIとの互換性を維持しながら高速化を図った64ビット幅のバス。PCI-SIGは2000年6月に,最高1.06Gバイト/秒での転送が可能なPCI-Xを現仕様であるPCI 2.2の補遺として発表している。

(2)InfiniBand:InfiniBandは,Intel社が主体となって開発していた「Next Generation I/O(NGIO)」と,米IBMや米Compaq Computer,米Hewlett-Packard(HP)が主導した「FutureI/O(FIO)」を統合したサーバ向けI/Oアーキテクチャである。技術的にはスイッチト・ファブリックをベースとする。リンク1組(1組は単方向の伝送路2本で構成),4組,12組の仕様を策定する予定で,リンク1組で2.5Gbps,4組で10Gbps,12組で30Gbpsとなる。各リンクには銅線あるいは光ファイバを使う。銅線の場合,延長距離は17m。光ファイバだと最長10kmまで延ばせる。InfiniBandを使ったシステムは,複数のサブネットで構成する。サブネット間はルータ・ブリッジで結ぶ。一つのサブネットは最大6万4000個のノードから成る。

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