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 米Microsoft Craig Mundie副社長「ソース・コードを公開し始めたからといって,米Microsoftがオープンソースの企業になろうとしているわけではない。Microsoft社としては,ソフトウエア事業強化のため,今後も有償ソフトウエアのビジネス・モデルを追求する戦略を貫いていく」。

 Microsoft社が米国時間5月3日に,オープンソースのビジネス・モデルについて改めて否定的な立場であることを鮮明にし,パートナ企業に対してだけソース・コードへのアクセスを認める「shared source」の取り組みの詳細を明らかにした。同社のソフトウエア戦略を担当するAdvanced Strategies部門上級副社長のCraig Mundie氏が,米New York Universityのビジネス・スクールStern School of Businessで講演したもの。

 Mundie氏の講演内容は以下の通り。

 「知的財産権を重視しなければならない。ソフトウエアはオープンソースなどではなく,ライセンス契約に基づき有償で提供されることによってはじめて,経済を押し上げるイノベーションの土台を築くことができる。成長を持続させることも可能となる。

 こうしたビジネス・モデルがあったからこそ,当社を含め多くのIT企業が過去20年間にわたって,『資本を増やし,研究開発に投資を行い,リスクも背負い,長期にわたる“成功”に向け力を注ぐ』という成長の軌跡を歩めたのである」。

 「開発した技術というのは企業にとって最大の価値を持っている。それにもかかわらず,それを“無料進呈”し,広告や加入料などで利益をあげようとするビジネス・モデルもある。しかしそのようなモデルを掲げた企業は,今や相次いで破綻や苦境に陥っているのが現実である」。

 「これまでにも顧客の意見を聞き,オープンソース・ソフトウエア(OSS:Open Source Software)モデルを研究してきた。OSSには開発者のコミュニティやフィードバックなど確かに利点もあるが,分裂して複数のソフトウエアになってしまう可能性が高いことや相互運用性,ライセンスの問題などマイナスの要素も数々ある」。

 「特に,広く利用されているライセンス・プログラムGNU GPL(General Public License)は,有償ソフトウエアのビジネス・モデルを根幹から打ち砕くもの。知的財産権による保護を投げ出すことにほかならない。知的財産権への脅威である」。

 「ソフトウエア企業が,自ら作り出すイノベーションから収入を得ることができなければ,研究開発投資もままならず,結局そのようなビジネス・モデルは成り立たないことになる」。

 「ソース・コードを公開しないことは,利潤追求にとどまらず,ソフトウエアの安定性,互換性,セキュリティなどをしっかりと守っていくという点にもつながる」。

 「有償のソフトウエアを手掛けるベンダーが,技術という資産を失うことなく,また同時にオープンソース開発の流れにも貢献していけるよう,支援していきたい。それを促すためのビジネス・モデルを知的財産権に基づき展開していく」。

 ただし,「Microsoft社が現在提供しているソース・コードの公開プログラムは,研究者,サード・パーティ開発者,顧客企業などが製品開発などを向上させるための機会を提供しているもの」として,今後も現行の公開プログラムを継続していくことを明らかにした。

 米New York Timesによれば,この講演に先立って同紙が行った電話インタビューのなかでMundie氏は,「大企業にもオープン・ソース・モデルに力を入れるところが増えてきた」と語り,米IBMのLinux戦略を挙げた。ただし,今回の講演のなかでは具体的な企業名などについては全く触れなかった。

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