米Motorola Labsが米国時間8月21日に,3次元映像と360度のパノラマ映像を組み合わせるバーチャル・リアリティ(VR)技術を開発したことを明らかにした。「Virtual Video Reality」と呼ぶシステムである。

 Virtual Video Realityは,32台のカメラで360度パノラマの立体映像を記録する。またマイクロフォンで音声を記録し,これらをオフライン処理する。Motorola Labsが開発したアルゴリズムによって,最終的な立体パノラマ映像を生成するという。

 ユーザーは,ディスプレイや動き追跡装置(モーション・トラッカ)を備えるヘッド・ギアを身につけて3次元空間を体験する。ユーザー自ら視野を制御することも可能で,これにより「3次元の360度空間に完全にとけ込める」(Motorola Labs)。なおMotorola社のPersonal Communications Sector部門が現在,このための音響技術を開発中だとという。この音響システムも同様にして立体的な音響環境を実現するとMotorola Labsは説明する。

 Motorola社は イリノイ州キケロで開催されたCART FedEx Championship Seriesで撮影した映像などを使ったデモを行った。

 「自動車レースにはアクションがたくさん詰まっているので我々はそれを撮影した。想像して欲しい。カウチに座りながら360度の3次元映像をコントロールし,居間で実際のレース場と同じ体験ができるのだ。」(Motorola Labs情報処理/通信部門ディレクタのSteve Levine氏)。

 Virtual Video Realityについては,「まだ研究段階で,今後も多くの研究が必要だ。しかし,5年後には消費者に受け入れられ始めるだろう」(Levine氏)と説明する。

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