(2001.10.03,Sandra Swanson=InformationWeek

 インターネットの標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)が「Patent Policy Framework」に関するコメントの受け付け期限を米国時間10月11日に延期した。“合理的かつ差別のない(RAND:reasonable and non-discriminatory)”ライセンシングを目指すこのフレームワークについて,多数の反応がW3CのWWWサイトに寄せられている。過去4日間で1300件以上の意見が記入されており,日和見的なコメントはほとんどないという。

 新提案では,W3Cが標準化したWWWソフトの仕様に対し企業が特許権を主張することを可能にし,開発者からロイヤリティを徴収できるようにする。

 ITコミュニティの多くの人々は,提案の策定に大手ベンダーが関与することを懸念しているようだ。RANDの作業グループにはW3Cのほか,米Apple Computer,米AT&T,富士通,米HP(Hewlett-Packard),米IBM,米Microsoft,カナダのNortel Networks,オランダのPhilips Electronics,英Reuters,米Sun Microsystemsなどから代表者が参加している。

 「標準規格は,平等かつ構成に策定してこそ大きな意義を持つ。誰ひとりCOBOLの特許を所有していない。COBOLは専門家の公正なグループによって策定された標準規格で,使い易く一貫性があり普及している。RAND作業グループはまるで,大がかりな強盗で協力する泥棒集団のようだ」と,ペンシルベニア州Fairviewの製造会社である米PHB上級プログラマ兼アナリストのDarrel Sisson氏は異論を投げかける。

 マサチューセッツ州West Yarmouthの調査およびコンサルティング企業Standish Group会長のJim Johnson氏も同意見だ。「企業がその努力に対して利潤を得る権利はあるが,RAND提案はW3Cがこれまで支持したすべてに真っ向から反対している。RAND提案の採用はこれまでのすべてを無効にするかもしれない」(Johnson氏)。

 W3CスポークスマンのIan Jacobs氏は,洞察力のある多数の反応を讃えながらも,「RAND提案に関する討論の多くが間違った情報に基づくものだ」と述べている。よくある誤解の一例として,「W3Cは仕様を記述するだけで,採用は無償だ」と考えられているが,「そのようなポリシーを掲げたことは一度もない」(Jacobs氏)。Jacobs氏は「Patent Policy FAQ」を閲覧するよう人々に促している。

 誤解とはいうものの,それで人々が簡単に納得するわけではない。

 小売りチェーンの米Thymesグラフィック・デザイナーのGeorge Tucker氏は,「RAND提案がWWW設計を複雑にする」と話す。「もし企業が仕様に変更を加えはじめたら,互換性の問題が混乱する。マーケティング部門にとっては嬉しくないことだ。各ブラウザの特性に合わせてコードを記述しなければならないなど,過去のことになり始めているのだから」(Tucker氏)。

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