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(2001.10.10,Mitch Wagner=InternetWeek

 発表時の反応が芳しくなかったというだけの理由で,米Hewlett-Packard(HP)と米Compaq Computerの合併計画を取り下げるべきだと発言している業界の観測筋がいることについて,HP社CEOのCarly Fiorina氏は火曜日に「信じ難いことだ」と述べた。

 「私は(その人たちに)次のような質問を考えました。この業界に長年いる経営陣や役員たちが,非常に軽薄で,また浅はかな考えで今回のような合併合意に達すると本当に考えますか? 悪い報道をされた2週間後に我々が,“あらいけない,きっとこの考えは間違ってたわ”と言うと思いますか?」(同氏)。

 Compaq社とHP社は合併することで両社が合意したことを9月4日に発表した。それ以来,両社の株価は下落し,HP社の株価は9月4日の始値21.15ドルから火曜日の終値16.95ドルに,Compaq社の株価は同じ期間に12.95ドルから9.05ドルまで下がった。

 企業顧客は用心深いものの楽観視している。一方アナリストは,合弁発表以前でも株価が下がり,市場シェアを減らしている両社が合併するメリットがあるのか,と批判している。

 これに対し,Fiorina氏とCompaq社CEOのMichael Capellas氏は,InternetWeekと関連出版社のインタビューに答え,合併する理由を何度も繰り返し語った。

 両氏によると,両社が合併することで,提供するサービスやサーバー,ストレージ事業において,規模と相乗効果による経済的メリットが期待できるという。また,合併が実現すればHP社として一つになり,現HP社会長兼CEOのFiorina氏が新会社のCEO兼会長に就任し,現Compaq社会長兼CEOのCapellas氏が社長に就くという。

 アナリストらは,新会社が米IBMのGlobal Services部門や米PricewaterhouseCoopers(PWC)などの企業と競争するために,「業務処理のコンサルティングに注力する必要がある」と述べている。しかしCapellas氏は,「両社はこの分野の競争に参加する予定はなく,両社の製品やアウトソーシング,技術コンサルティングを強化することに集中する。必要に応じて,PWC社やほかの業務コンサルタントと協力するつもりだ」と述べている。

 「両社の製品のラインナップと,それぞれの製品に対する提供するサポート能力が,顧客を惹きつける鍵になるだろう」(同氏)。

 さらにCapellas氏は,「2年前に企業は皆,外に出かけてまずWWWサーバーを構築するための小さな会社を探し,次にWWWサーバーのサポートを掲げている会社を求めたものだ。しかし企業はもはや技術を一つ会社から購入したがっている。ソリューションを提供できる会社に統合して,パートナーの数を減らしたいのだ」と説明する。

 両社の製品体系が重複しすぎているという批判に対しては,「重複ではなく補完関係にある」(Capellas氏)という。「皆が思うほど重複してはいない」(同氏)。

 「ロードマップが理解されないときに,消費者に対する懸念が最も取りざたされる」とFiorina氏は語った。「顧客が製品をどのように使用しているかを調べれば,ロードマップは明確になる」(同氏)。

 「例えば,『HP-UX』はERPなどの業務アプリケーションを使用するユーザーが関心を持つメジャーな商用UNIXであり,『Tru64 Unix』は科学技術アプリケーションの分野で主に使われている。そのうちに,両社はTru64の高機能とクラスタリング能力をHP-UXに組み込むことになるでしょう」(Fiorina氏)。

 しかし,連邦法の規定によって明らかにできないことを理由に,両氏は製品体系を一つにまとめる具体的な計画についてはコメントを避けた。

 「印刷事業にも相乗効果が期待できる」とFiorina氏は述べた。「顧客はスタンドアロンのプリンタよりも,ネットワーク印刷を望んでいる。このことは,ネットワーク・インフラを提供できるベンダーが必要ということを意味する」(同氏)。

 Fiorina氏によると,旧式のプリンタは何かを印刷したりコピーして,物理的に配布するためのものであり,ネットワーク印刷によって印刷概念に変化を起こすという。「コンテンツはネットワークを介してデジタル情報として配布され,書類など必要な形式に必要なところで印刷することになる」(同氏)。

 デジタル写真と商業印刷は2大成長市場であり,両社が目標とする分野である。

 両CEOは,既存の製品ラインナップに対するサポートを製品寿命が尽きるまで継続すると,顧客に対して保証した。

 Fiorina氏は「顧客の世代から技術の新しい世代への移動は,この業界の行うこと」と語った。「ただし,このことは現在行われている最も複雑な技術遷移というわけではない。IBM社はもっと複雑な技術遷移に直面している」(同氏)と述べたが詳細には触れなかった。

 「新会社の主な競争相手は,規模,製品ラインナップ,サービス体制において唯一対抗しうる企業,IBM社である」と両CEOは語った。

 「しかし,IBM社はすべての事業にマイクロプロセサを含めて構築するという,我々とは異なるビジネス・モデルを持っている。我々の新会社は,業界標準の部品を利用し,相互運用性を活用することになる」(Fiorina氏)。

 また,Capellas氏は,製品ラインナップの拡大,無線アプリケーションなどパッケージ・ソリューションの向上,チャネル在庫管理の向上といった合併による利益をいくつか挙げた。

 さらにCapellas氏は,両社がパソコン市場のシェアを失いつつあることを指摘した合併発表当時のニュースなどに対し,同氏が主張したことが誤解されていると論じた。「合併契約は企業としての戦略の実現を達成するためのもので,パソコンの販売だけを目的としているわけではない」(同氏)。

 「合併条件は株式交換であり現金による買収ではない。そのため,株価が低下したとしても,株主は合併後の新会社から得る利益を長期にわたって増やすことになる。この合併は長期的な利益を求めるもので,短期的なものではない」(同氏)。

 最後にCapellas氏は次のように強調した。「この合併は顧客の要求によって行われるものだ。これによって,顧客は取引するベンダーの数を減らすことができる」(同氏)。

 Capellas氏によると,9月11日のテロ事件以来,企業顧客はより保守的になり,大混乱の状態のなか迅速に業務を行える状態に戻すことができるベンダーからシステムを求めるようになってきたという。「金融業界に関係するCompaq社の全顧客がテロ事件後にネットワーク接続を復活させ,これによってCompaq社の評判が上がった」(同氏)。

 Fiorina氏は,品質,信頼性,冗長性に対する関心が高まったという。「この状況は長期にわたって影響する。短期的には,ある程度ビジネスを麻痺させる“システムに対する物理的な衝撃”が残る。ただし,この状態がいつまで続くかはわからない」(同氏)。

 Fiorina氏とCapellas氏はフロリダ州オーランドのWalt Disney Worldで開催したカンファレンス期間中にインタビューを行った。プレス・カンファレンスに先立ち両CEOとリポーターは,Walt Disney Worldに人気がなく,特に子供の姿が見えないことについて触れた。「Disney Worldに人がないなんてなんて奇妙なことです。私には,この状態がいつまでつつくかわからない。永遠に終わらないかもしれない」(Fiorina氏)。

 「テロ事件とその余波によって,減速しつつあった経済で打撃を受けていた企業のなかにはより瀬戸際に追い込むまれるものもあるだろう」(Capellas氏)。

 「ネットワークの安全性はこれまでも優先事項の一つであったが,検討すべき重要課題となった。顧客は現実世界でのメリットを求めている」(Fiorina氏)。

 「経済状態と世界的な政治状況の二つが,最大の懸念だ」(同氏)。

 Fiorina氏は「9月11日以前でも,この状況は最悪の技術下降だとか,この40年間でこれほどの速度で経済が悪化したことはないなどといっていた。これは大変な問題です」と述べた。「この状況にあっては,IT業界で進行している基礎的な方向性に忠実に従い,基本にしがみつく必要があると私は考えている」(同氏)。

 「このことには,標準技術,相互運用性,柔軟性,オープンソース・コードの推進が含まれる。価格の優位性と柔軟性が必要なため,この業界において,避けることのできない容赦ない流れである。我々が従っていくこの流れは,経済の状況とは関係ない」(Fiorina氏)。そして「良い状況でも悪い状況でも,価値をどうやって創造するのか,どのようにキャッシュ・フローを生み出すか,にこだわらなければならない」と述べた。

 Fioria氏は,長期的な利益を考えることより,短期的な常識にとらわれてしまうことに対し警告した。「常識というものは,えてして間違っている」(同氏)。

 「米Handspringと米Palmが世界を席巻し,米Exodusが未来の波となる,といったことを考えてみなさい。その時点でホットなものに集中していると,メディアと市場がそうであったように,道を間違えてしまうことがある」(同氏)。

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