米Motorolaは第3世代(3G)携帯電話向けの複数アンテナ対応計測システムを米国時間5月23日に発表した。Motorola社はすでに同システムを使った実地試験を行い,「複数アンテナを使うことで,3G技術の性能を大幅に向上できる可能性があることを確認した」(同社)としている。

 「携帯電話業界が3GPP Release 4およびRelease 5や,1xEVDVなどの3GPP2技術へ移行することで,3Gの標準技術は進化し続けている。これらの技術に必要なのは,高いデータ転送レートを低価格で消費者に提供することだ」(Motorola社上級副社長兼CTOのDennis Roberson氏)

 1ビット当りのコストを下げつつ高速データ転送を実現するには,基地局と携帯電話機の双方に複数のアンテナを設ける方法がある。論理的には,この方法でデータ容量,最大データ転送速度,音声品質が大きく向上することが判明している。しかし,実際の性能は,電波信号の伝播する環境の特性に依存してしまう。したがって,チャンネル容量の向上を予測するには,伝播環境の特性を正確に表現できるモデルが重要になる。

 Motorola社のチャンネル計測システムを使うことで,基地局と携帯電話機間のすべての伝播経路を同時に計測できるという。計測可能なチャネル帯域幅は最大5MHz。さらに,上り/下り両方向の計測にも対応する。チャンネルの計測回数は毎秒1600回で,「車両を使った移動試験にも十分対応可能」(同社)という。

 また,送信/受信アンテナ間で起る現象の数学的チャンネル・モデルを,開発/評価することもできる。携帯電話機と基地局で行われる信号処理をモデル化するシミュレーションでこのチャンネル・モデルを利用し,チャンネル容量,最大データ転送速度,音声品質の予測を行うことも可能だ。

 同社は同計測システムを某都市の2カ所の基地局に実装し,実地試験を行うため4本のアンテナを取り付けたPDAとノート・パソコンを用意した。複数のアンテナを組み込んだ試作品の携帯電話機を用いたトライアルも実施している。「現在までに2000Gバイト以上のチャンネル・データを収集しており,複数アンテナを利用するさまざまな技術の評価にデータを利用できる」(同社)

 実地試験の結果,「複数アンテナを利用することで,データおよび音声の品質が大きく改善することが認められた」(同社)という。

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