米University of Rochesterと米Xerox社の科学者が,通常のデジタル画像内に情報を隠ぺいし,再びそれを取り出す方法を発明した。これは,オリジナル画像を歪めたりデータ損失なく実現できる。

 「リバーシブル・データ・ハイディング(reversible data hiding)」と呼ばれるこの新しい技術は,特に軍事,法的,医学的用途において,デジタル画像のユーザーが直面するジレンマを解消する。これまで,画像の信頼性を確立するためには,透かしを入れる,または透かしはないが,拡大や細部の強調ができるようにすべてのオリジナルの情報を保存するタイプの2種類から選択しなければならなかった。新しく発見された技術で情報を埋め込めば,権限があるユーザーは両方が実現可能になる。

 この技術は,同大学のMehmet U. Celik氏,Murat Tekalp氏と同社のGaurav Sharma氏,Eli Saber氏が共同開発した。2002年9月24日に「IEEE 2002 International Conference on Image Processing」にて論文が発表される。

 「電子透かしなど,メッセージを埋め込むために一般的に使用されている技術は,画像に回復不可能な変化を加える。そのため,歪みや情報損失が生じる。これらの歪みは僅かなため,通常の用途においては許容できる。しかし,コンピュータで画像の拡大,強調,処理を行った場合に,情報損失は許容範囲を越える可能性がある」(同社の科学者のGaurav Sharma氏)。

 このデータ埋め込みアルゴリズムでは,特権を持つ受け取り人が埋め込まれたメッセージの抽出に加えて,オリジナル画像を無傷で,データを追加する前とまったく同じ状態に回復できるという。

 「同技術は,画像の認証と変更の検出が必要な状況で広く応用されるだろう。また,撮影した人物,時間,撮影したカメラなどの画像自体の情報を符号化することもできる」(同大学のMurat Tekalp氏)。

 「同技術の最大の利点は,何者かによって密かに画像が改竄されたか否かを判断できる点にある。近頃,多数の市販のソフトウエアを使ってデジタル画像を操作できるようになっているが,この方法でデータをエンコードすることにより,データが改竄されていないことを確認でき,品質を損なうことなく画像内のデータを削除できる」(同氏)。

 同技術は,現在ソフトウエアに実装されているが,ハードウエアや信頼できるデバイスのファームウエアに実装することも可能だという。たとえば,後に法廷で使用する法医学的証拠を収集するために使うデジカメなどにこの技術が使える。新しいアルゴリズムを採用したカメラで撮影したイメージに情報が埋め込まれていれば,画像の操作によって後に組み込まれた情報が検出できる。

 University of Rochesterは,同技の特許を出願中。同大学とXerox社がこの発明の権利を共有する。

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