金融サービス分野の市場調査を手掛ける米TowerGroupは,世界の証券業界におけるIT支出について調査した結果を,米国時間5月17日に発表した。それによると,2004年における証券業界のIT支出は前年比1.4%増の715億ドルに達する見通しである。「1990年代の2ケタ成長はもはや望めないが,証券業界のIT支出は安定したペースで回復する」(同社)

 調査では,証券業界の機関投資家,個人投資家,投資/資産運用会社の三つの分野におけるIT支出について分析した。

 TowerGroup社Securities & Investments部門担当副社長のRob Hegarty氏は,「2004年における証券業界のIT支出は,2000年の862億ドルには遠く及ばないが,景気減速によってIT支出の削減が進んでいたことを考えると明らかに朗報である」と説明した。

 同社は,2004年から2008年にかけて,資産運用会社のIT支出が最も速いペースで伸びると予測する。成長の要因として,金融サービス分野の回復と,ビジネス・モデル移行に伴う高度な技術への需要の高まりを挙げている。資産運用会社のIT支出は過去3年間にわたって,前年比4%以上の割合で縮小していた。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・北米の証券業界が,その他の地域をわずかにリードする。2004年に,北米の証券業界のIT支出が全世界で占める割合は42%となり,2000年の40%からやや増加する。

・北米の証券業界では,ハードウエア,ソフトウエア,サービスなどに関して,アウトソーシングを利用する企業が増えている(オフショア・アウトソーシングを含む)。IT支出でアウトソーシングが占める割合は,1996年の43%から2008年には58%へと増加する。

・2004年における機関投資家のIT支出は約500億ドル。前年よりわずかに増加し,その多くはITの保守と開発に費やされる。

・2004年における個人投資家のIT支出は前年比4%以上増の50億ドル以上。その内訳は,中核的業務および取引関連に16億9000万ドル,取引ツール,分析,ブローカ・ワークステーション関連に9億2600万ドル,意思決定支援,アドバイス,企画などに9億2600万ドルとなる見通し。

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