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 米IBMとスイスのローザンヌ連邦工科大学(EPFL)は,スーパーコンピュータ「eServer Blue Gene」を使った脳研究プロジェクト「Blue Brain Project」(愛称)に共同で取り組む。IBM社とEPFLがそれぞれ現地時間6月6日に明らかにしたもの。2年かけて新皮質の詳細な神経回路モデルを作り,脳の動作の解明を目指す。

 研究者らはデジタル・モデル化した神経回路を使い,分子レベルで脳の動作をシミュレーションする。これにより,思考,認知,記憶といった脳内部の動きを解明する手がかりが得られるという。「自閉症や統合失調症,うつ病といった精神疾患は,脳の特定部分で起こる機能障害が原因と考えられる。シミュレーションにより,こうした機能障害についても発生理由の理解が進むと期待している」(IBM社,EPFL)

 IBM社の研究グループは,脳の内部で進む反応速度の速い電気化学的な相互作用を再現するため,3次元モデルの作成を支援する。このモデルを4ラック構成のBlue Geneシステムで“動かし”,脳の働きをシミュレーションする。

 EPFLに導入するシステムの設置面積は冷蔵庫4台分ほどで,最大演算速度は少なくとも22.8テラFLOPSになると見込む。

 同プロジェクトを指揮するEPFL教授のHenry Markram氏は「細胞レベルで脳をモデル化するには数10万個もの要素を考慮する必要があり,膨大な作業になる」と説明する。「IBM社は生物学的シミュレーションで卓逸した経験があり,世界最高のスーパーコンピュータ技術を持っている。EPFLの研究リソースと知識を組み合わせれば,神経科学分野においてこれまでで最も意欲的な研究が行える」(同氏)

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,IBM社とEPFLは研究に使用するBlue Geneシステムの価格を発表していないが,IBM社は通常1ラック当たり約200万ドルで販売している。各ラックには1024個のPowerプロセサを搭載できる。EPFLへのシステム納入は6月中に行うという。

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