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 米Hewlett-Packard(HP)は,LSI内の回路に欠陥が生じても機能障害を起こさないLSI配線技術を開発した。HP社が米国時間6月9日に明らかにしたもの。余分な配線をLSI内に設けておくことで,欠陥発生に備える技術である。「現行技術を発展させた将来の製造装置を使う場合に比べ,1000分の1のコストで100%に近い歩留まりを達成できる」(同社)

 このLSI配線技術は,同社の開発した分子サイズ・スイッチング回路技術「crossbar architecture」に適用できる。crossbar architectureは,信号線として機能する1本のワイヤーと,それに約90度で交差する2本の制御線用ワイヤーで構成する。信号線と制御線のあいだは,分子サイズの電気的なスイッチで接続してある。制御線に電圧パルスを加え,極性が反転するようスイッチを操作すると,回路がNOT素子として機能する。回路内の論理レベルは望ましい電圧値に戻せるので,単純なゲートを数多くつなげれば演算回路を組み立てられる。

 crossbar architectureについて,同社は「トランジスタに取って代わる基盤技術であり,コンピュータの処理能力を現在の数1000倍に高める可能性がある」と述べる。さらに,従来のシリコン技術ほどの製造精度は不要で欠陥にも強いので,低コストで容易に製造できるという。

 新しいLSI配線技術は,あらかじめ50%“余計な”配線をcrossbarに施しておく。こうすることで,「相当多くの」(同社)配線が切断していても回路は正常に動作する。同社は「完璧なLSIを製造する必要がなくなるので,LSIメーカーは大きなコスト削減が期待できる」としている。

 「(プロセスが微細化するとLSI内部の)個々のモジュールの欠陥率は高くなるが,(同LSI配線技術を適用すれば)ナノ・レベルの回路の歩留まりがほぼ100%になるはずだ」(HP社上級フェロー兼HP Labs量子科学研究(QSR)ディレクタのStan Williams氏)

 詳細については,英国物理学会(Institute of Physics)のNanotechnology誌(6月6日号)に掲載する。

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