同じ機能を持たせたマシンの台数を物理的に増やすことでシステムの処理能力を増強する手法。一方,マシンの台数はそのままに,より高速なCPUを搭載した機種にリプレースしたり,メモリーを増設したりするなどしてマシン自体の能力を増強する方法を「スケールアップ」と呼ぶ。一般には,スケールアップよりもスケールアウトの方が低コストで処理能力を増強できるとされる。

 ただし,スケールアウトを実現するには適切な負荷分散機構が必要になるため,適用可能な分野は限られる。例えば,Webサーバーは原則として1回の通信でセッションが終了するため,比較的簡単な仕組みの負荷分散装置でスケールアウトできる。一方,基幹システムのデータベース・サーバーのように,システム全体でのデータの整合性を常に要求されるサービスはスケールアウトが容易にはできない。

 また,スケールアウトによってマシンの台数を増やすと,それにつれて必要な設置面積が増えるほか,システム全体で見たときの故障の発生率が上昇する。そのため,スケールアップした場合に比べてシステムの総所有コスト(TCO)は増大する可能性もある。近ごろでは64ビット・サーバーの登場をはじめとするハードウエア性能の向上を追い風にスケールアップの動きも盛んだ。複数のサーバー機能をより少ない台数のマシンに集約する「サーバー統合」などの動きも見られるようになっている。