ネクスト・ソサエティの中には、IT革命についての言及もある。筆者は原文を見ていないが、「IT革命」は英語でなんというのだろうか。何度か書いているように、筆者はIT革命という言葉が大嫌いである。記事で使ったときは、必ず否定的に引用してきた。最近ようやくこの言葉が使われなくなり、めでたいことである。

 それはさておき、ドラッカー氏は本書の中に納められた、「IT革命の先に何があるか」という一文において、IT革命でもっとも注目すべきはeコマースであると言っている。

 「IT革命におけるeコマースの位置は、産業革命における鉄道と同じである」。

 以下、ちょっと前の「記者の眼」に書いた拙文を引用する。

 「ここでは,蒸気機関とコンピュータはともに革命の導火線であったと述べられている。ただし蒸気機関は以前から存在していた製品の生産を機械化しただけであった。コンピュータも同じだとドラッカー氏はいう。蒸気機関の次に,世の中を大きく変えたのは鉄道であった。蒸気機関の登場から鉄道が生まれるまで,なぜか40年が経過した。鉄道にあたるのが,インターネットを使ったeコマースである。こちらもコンピュータが登場してから大体40年後に出現した。鉄道によって火がついたブームは100年近く続いた。従ってITによる新たな革命は,まだまだ先が長いということになる。世の中がどう変わるかは,100年後にならないと分からないのかもしれない」。

 ドラッカー氏も、こう言っている。

 「何がeコマースに乗り、何が乗らないかはわかならい。流通チャネルとはそういうものである」。

 例えばかなり以前から、新聞に代わってオンラインの情報提供サービスが普及すると言われていたが、「いまのところ金脈を掘り当てた者はない」。自動車を見ると、高級車以外の新車の半数がインターネットで購入される一方、中古車は依然として店で購入されているという。

 また証券取引はオンラインに移行するといわれてきたが、ドラッカー氏によると、投資信託が主流になった結果、オンライン売買の比率は低下しているそうだ。ちなみに米国でもっとも急速に伸びているeコマースは、マネジャーや専門職の求人就職であるという。