「ITの世界は変化が激しくて大変」という指摘がある。しかし実際には昔から何も変わらない世界である。

 筆者は対面取材を最重視する者であるが様々な経緯から数件のメーリングリストに参加している。記者として何か情報を採るつもりは毛頭なく、一個人として勉強のために読んでいる。時々書き込みをしてみたいと思うものの、企業名や所属を書くと記者であることが分かってしまうし、匿名では発信したくないので、大抵は読むだけである。

 先月末から今月にかけて、筆者が参加している二つのメーリングリストでIT産業の問題を巡り活発な議論がされている。一つは日本のソフト産業の下請け構造問題であり、もう一つはIT関連エンジニアはもっと視野を広げビジネスのことを考えないとダメだ、というものだ。

 どちらも重要な議論であるが、筆者は本題とは別のことを考えてしまう。この問題はもう何十年も前から指摘され議論されてきた。何十年というのは誇張ではない。少なくとも筆者が記者になった20年前、ソフト産業の構造問題やシステムズエンジニアのスキルの幅について議論がされていた。筆者にとって古巣である日経コンピュータにおいても何度と無くこうしたテーマの記事を掲載していた。

 これだけ以前から問題視されていながら何も進展がないのはどういうわけか。なぜ変化が起きないのか、といった観点から問題を考えてみる必要があると思う。