オフィスに置かれたコピー機(ネットワーク対応のデジタル複合機)にJavaアプリケーションを搭載し,経営者向けの情報端末にする──。複合機でスキャンした紙の文書を,ボタン操作だけでオフィス・アプリケーション文書に変換する──。キヤノンは,自社製品が搭載する組み込みJavaプラットフォームを活用したアプリケーションの拡充を急いでいる。

中小企業の経営者をターゲットにした「PCAボス魂」

 その一つが,ピーシーエーがこの10月13日から発売する「PCAボス魂 for 4D Pocket Light Print」である。「日別売り上げ・入金の一覧」といった経営者向けの情報を,複合機の画面上の操作だけでプリントアウトする。PCの操作なしに,必要な情報だけを紙の形ですぐ取り出せる点を売り込む。「従来は,PCからプリンタに対して印刷するという“push”型だったが,今回は複合コピー機上の操作でPCから情報を取り出す“pull”型」(ピーシーエー)と説明する。

 アプリケーションは,PC上で動作する「PCAボス魂 for 4D Pocket Light Print」と,キヤノン製の複合機上で動作する「4D Pocket Light Print for PCAボス魂」から構成する。ピーシーエーの販売管理システム「PCA商魂」シリーズと組み合わせて利用する。PCを操作せずに,複合機の液晶パネルからすべての操作が可能な点が特色である。
 主な想定ユーザーは,「社員数5名から30名程度の中小企業」である。「複合コピー機の液晶パネルを3回触れるだけで情報を取り出せる。帳票の出力を部下に依頼せずとも,経営者が自分で出力でき,部下とのコミュニケーションのきっかけにも使える」(同社)。取り出せる帳票は,日別の売り上げ・入金額だけを確認できる「売上カレンダー」などである。操作も,帳票も,経営者を想定してごくシンプルなものである。デモンストレーションを見る限りでは,データ検索の待ち時間も5秒以内と短い。

 複合機の上で動くソフトウエアは,フォーディーネットワークスが開発した「4D Pocket Light for MEAP」上に構築した。複合機の上のユーザー・インタフェース・エージェント構築機能を提供するほか,「スケジュール管理」や「消耗品発注機能」などのアプリケーションを内蔵する。

プラットフォームはJava

 この「PCAボス魂」を含めて,今回は8種のアプリケーションを発表した(発表資料)。その中の一つ「ScanToOffice Pro」(パナソニックソリューションテクノロジー)は,複合機でスキャンした紙の文書を,Word,Excel,PowerPoint,一太郎などオフィス文書に変換するアプリケーションで,OCR機能を備える。

 各アプリケーションの対象機種は,Javaプラットフォーム「MEAP」(Multifunctional Embedded Application Platform)を搭載したキヤノンの複合機「image RUNNER」シリーズ。MEAPは,組み込み機器向けJava実行環境であるJ2ME CDCに基づいている。

 「2005年上期以降は,複合機image RUNNERの新機種すべてにMEAPを搭載する」とキヤノン販売 ビジネスプロダクト企画本部 DS商品企画部部長の高橋雅之氏は話す。大きな液晶タッチパネルを備える複合コピー機にJavaベースのアプリケーションを搭載し,オフィスへの機器・消耗品の供給という従来型以外のビジネスに結びつけてきたい,とする。

(星 暁雄=日経BP Javaプロジェクト)