PR

 大手メーカの出展が少なく,これといった見所に欠ける今回のCOMDEXだが,数少ないトピックの中で無線LANは多くの来場者を集めていた。今年はCOMDEXに合わせて多くの製品が発表されており,中でも目を引くのがIEEE 802.11gをベースとした無線LAN制御チップと,これを採用した製品だ。

 802.11gは,現在主流の無線LAN規格である802.11bと同じ2.4GHzを利用する。11gは11b機器とも通信できる上,高速な無線LAN規格の802.11aと同じくOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)という変調技術を用いており,最大54Mビット/秒で通信できる。広く普及している11bとも通信可能であり,高速で通信できる規格として以前から注目されていた。

 発表ラッシュの口火を切ったのが米BROADCOM社だ。同社は11g対応のチップセットとして,クライアント・カード用チップセット「BCM4306」と「BCM4309」を発表し,これらのチップ・セットを用いた基盤をリファレンス・デザインとして展示した。BCM4306は2.4GHzの11b/11gに対応しており,BCM4309はこれに加えて5GHzの11aにも対応したデュアル・バンドをサポートしている。同社ではすでにチップ・セットの出荷を始めており,早ければ12月にも同社製チップ・セットを用いた2.4GHzの高速無線LAN機器が登場する見込みだ。

 メルコの米国法人である米Buffalo Technology USA社では,BROADCOMのチップ・セットを用いた製品を2003年早々に量産出荷する予定にしている。「2002年12月に出荷するメーカもあるかもしれないが,おそらく数量は少ないだろう。大量に製品出荷するという点では当社が先頭を切ると思う」(Senior ExecutiveのHiroshi Ide氏)としている。

 BROADCOM以外のチップ・セット・メーカも,相次いで11gへの対応を表明している。米Athero Communications社,米Texas Instruments社,米Intersil社などである。ただし,出荷時期についてはメーカ間で温度差がある。理由は,IEEE802委員会での標準化作業がまだ終了していないから。802.11gの規格化は,2001年11月にドラフト仕様が決まったものの,標準化のための議論がまだ進行中。標準化は早くて2003年半ばと見込まれている。そのため,「まだ仕様が変わる可能性が高い」(Atheros CommunicationsのSheung Li氏)ことが,現段階で慎重な姿勢の理由だ。BROADCOMも11g対応とは表向きは表現できず,独自に「54g」という名称をデータ・シートでは採用している。

 このため,Texas Instrumentsではファーム・ウェアのアップデートで正式に11g規格に対応できると確認できる段階までは出荷時期を明らかにしない予定。Atheron communicationsも,2.4GHzでOFDMを用いるという11gの基本的な機能はすでに実装しているとしながらも,「顧客からの問い合わせには,まだ今は製品化すべきではないと答えている」(Li氏)という。

(仙石 誠=日経バイト)