富士写真フイルムは2003年1月22日,デジタルカメラで撮影した画像が白とびするのを防ぐ新しい技術を開発したと発表した。この技術を搭載した撮像素子を「スーパーCCDハニカムSR」と呼ぶ。

 従来の撮像素子は,被写体に特に明るい部分と暗い部分が混在していると,撮影した画像の明るい部分が白くとんだり,暗い部分が黒くつぶれることがあった。こういた問題に対処するため,スーパーCCDハニカムSRは画素の構造を変えた。従来の特性を持った画素に加えて,感度を抑えた画素を搭載する。同社は前者を「S画素」,感度を抑えた後者を「R画素」と呼んでいる。SはSensitivity,RはRangeを意味する。従来は一つの画素があった場所に,S画素とR画素の二つの画素を形成する。開口部の大きい方がS画素で,小さい方がR画素である(模式図)。

 白とびを防ぐ原理は以下の通りである。被写体の画像がレンズから撮像素子に入射してくると,光子が電子に変換される。そして電子がフォトダイオードに蓄積されていく。このときある一定以上の強い光が入射すると,フォトダイオードに電子を蓄積できる限界を超えることがある。この状態を飽和という。これに対し,R画素では光子を電子に変換する割合を少なくしたり,フォトダイオードの容量を上げるといった工夫を加えている。R画素は従来の画素が飽和する強さの約4倍の光が入射するまで,飽和状態にならないという。つまり,従来は白とびしてしまう画像であっても,R画素から得られる情報を使うことで修正できる。

 同社は現在,R画素とS画素をそれぞれ335万画素搭載した撮像素子を開発中である。画素の情報を演算処理することで,最大603万画素(2832×2128ドット)で記録できる。素子の対角の長さは1/1.7インチである。この素子は「2003年3月以降に出荷するデジタル・カメラに搭載していく」(同社電子映像事業部の青木良和営業部長)という。中上位の機種に搭載される見込みだ。

(市嶋 洋平=日経バイト)