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 アドビシステムズは2003年5月15日,PDF(Portable Document Format)ファイル作成ソフト「Acrobat 6.0日本語版」を発表した。マイクロソフトのOfficeとの連携を強化したのが特徴である。従来は1種類の製品しかなかったが,6.0からは大量導入向けの簡易版「Acrobat Elements」,従来製品の後継「Acrobat 6.0 Standard」,高機能版である「Acrobat 6.0 Professional」の3種類を用意する。

 Elementsは2003年5月16日に発売する。単体では販売せず,1000ライセンス単位のボリューム販売のみ。価格は,1000ライセンスで400万円を切る程度だという。StandardとProfessionalは2003年7月4日に発売する。Web直販価格は,Standardが3万4800円,Professionalが5万4800円である。

 アドビが無償で提供する閲覧ソフトも変わる。Acrobat Readerに電子書籍閲覧ソフト「Acrobat eBook Reader」の機能を統合した「Adobe Reader 6.0」になる。2003年6月中旬に同社のWebサイトからダウンロードできるようになる見込みだ。

 Acrobat 6.0ではまずOfficeとの連携が強化された。連携強化の第1が「PDFバインダ」だ。現実のプリントアウトは関連する書類をクリップで留めたり封筒にまとめたりできる。これと同じように複数のWord/Excel/PowerPointファイルをまとめて一つのPDFファイルにできるようになった。いわば電子封筒である。例えば,契約書のWordファイル,販売データのExcelファイル,プレゼンテーションのPowerPointファイルをまとめて販売企画書のPDFバインダにしてやり取りできる。

 PDFファイルからWordやExcelのファイルへの変換機能も強化された。Acrobat 5.0までは,PDFをRTF(Rich Text Format)に変換できるだけだったが,6.0ではほぼ同じレイアウトのWordファイルに変換できるようになった。また,PDFの表を選択してExcelファイルに書き出すことも可能だ。

 共同作業している仲間にPDFを配布して,修正点を書き込んでもらったり承認を受けたりする「レビュー機能」も強化された。従来製品のAcrobat 5.0は,サーバーにPDFファイルを置き,各ユーザーがWebブラウザ経由で注釈を書き込む形式のレビュー機能を搭載していた。Acrobat 6.0ではこれに加えてメールでPDFを配布してレビューしてもらうことも可能になった。Webサーバーにファイルをアップデートする権限のないユーザーでも手軽にレビューを依頼できる。「レビュー・トラッカ」という管理機能を利用して,誰にレビューを依頼したか,誰から返事がきたかを表示したり,返事がまだない人に催促メールを送ったりできる。

 レビューを依頼されたユーザーは,PDFの文字を添削したり電子スタンプを押すことができる。例えば,文字を選んでデリートキーを押すと,文字が削除されるのではなく,文字の上に赤色の取り消し線が引かれる。ちょうど紙に赤ペンで注釈を書き込む感覚だ。押印できる電子スタンプには2種類ある。レビュー時の日時やレビューした人の氏名が書き込まれる「ダイナミック・スタンプ」とシヤチハタが提供しているスタンプである。シヤチハタのものは,「重要」や「至急」といったビジネス用の定番スタンプと「やったね」などイラスト付きでくだけた感じのスタンプを電子的に再現したものだ。PDFに注釈を書き込んで返信すると,PDF全体ではなく変更部分のみのデータが依頼元に送り返される。データの容量が小さいので,メールサーバーに負担をかけずに済む。

 Wordファイルから生成したPDFをレビューしてもらった場合,その結果を元のWordファイルに自動的に書き戻せる。Acrobatのメニューから「注釈をWordに書き出し」を選び,どの注釈を反映させるかを指定する。最後に,添削指示を実行してWordファイルを変更するか,添削指示の内容をWordファイルに表示するかのどちらかを選び,元のWordファイルに反映させる。ただし,この機能を利用するにはWord 2002が必要である。

 また,PDFファイルに,FlashやQuickTime,MP3,WMF(Windowsメタファイル)などのマルチメディア・コンテンツを埋め込めるようになった。例えば,Flashを含むWebページをFlashごとPDFファイルに変換できる。

(大森 敏行=日経バイト)