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Craig Barratt IEEE802.11gが正式承認され,54Mビット/秒という高速無線LANが盛り上がりを見せている。チップセット・メーカーは標準化仕様としての高速化だけでなく,各社独自の高速モードを搭載し,高いスループットを売り物にしている。そこで,2.4GHz帯を使う11gの登場前から,5GHz帯のIEEE802.11aを手がけてきた米Atheros Communications社CEOのCraig Barratt氏に,高速無線LAN市場の現況,乱立する独自モードの現状について聞いた。

――2003年8月に出荷する,11a/11gをいずれもサポートするチップセットについて聞きたい。

 「AR5002」シリーズという,我々にとって第3世代にあたるチップセットだ。802.11b/g/aと現在利用されているすべての無線LAN規格をサポートしている。日本向けの4.9G~5GHzも含め,全世界で使われているすべての周波数帯をカバーしている。これを使えば,どこに行っても無線LANで通信できるというわけだ。さらに,独自の技術を盛り込むことで通常の11aや11gよりもさらに高いスループットで通信することもできる。

――独自の技術とはどういうものか。

 11gのみをサポートするチップセット向けの「Super G」,11a/11g対応のチップセット向けの「Super A/G」というものだ。名前は異なるが,技術的には同じだ。必要に応じてパケットをまとめて伝送するBurst Mode,通信時のリアルタイム圧縮,2チャネルを同時に使って通信するTurbo Modeを盛り込んだ。これにより11gや11aの4倍のスループットを実現できる。残念ながら日本国内ではTurbo Modeが使えないが,それでもスループットは2倍に上る。

――競合他社である米Intersil社,米Broadcom社も11g製品に同様に独自モードを持たせているが。

 まず他社にはBurst Modeに相当する技術しかなく,リアルタイム圧縮や2チャネル伝送はない。Super G,Super A/Gはこれに加えて,IEEE802.11bなど非対応の無線LAN機器との混在環境で,非対応機器のスループットを極端に悪化させないようにアクセス制御を最適化する機能も持たせている。また,他社は11gのチップセットで高速化しているだけだが,Atherosでは11aも高速化できる。

――せっかくIEEEによる標準化仕様があり,Wi-Fi認証により相互接続性が保証されているのが無線LANのいいところなのに,こうも独自モードが乱立するとユーザーは混乱してしまうと思うのだが。

 Burst Modeは実は標準的な技術を用いている。無線LANでのQoSを実現する規格として現在策定中のIEEE802.11eに基づいたものだ。これはAtherosだけでなく,他社も同様。だから,Burst Modeに限って言えば互換性はある。ただ,確かに各社で名称が異なるため,混乱を招きかねないのも確かだ。無線LANではこれまでWi-Fi Allianceを中心に,WPA(Wireless Protected Access)やWME(Wireless Multimedia Enhancement)のように,IEEEの外で競合する企業が集まって共通規格を定めた例もある。Burst Modeについても,相互接続性を保証する規格を定める必要があるだろう。まだ公式にはアナウンスされてはいないが,水面下ではそうした動きは始まっている。

(仙石 誠=日経バイト)


米Atheros Communications社