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 東2ホールの入り口(東3ホール寄り)を覗くと、コンセントをもじったロゴが目をひくブースが目に入る。ここが、電力線通信を推進する業界団体「PLC-J(高速電力線通信推進協議会)」のブースだ。昨年よりも展示スペースが広くなり、熱心に説明を聞く人で賑わっている。 電力線通信は家電やパソコンなどをネットワーク化することを目的としており、建物内のコンセントにプラグを挿して電力線を使って通信する。コンセントを使うといった手軽さと、最大200Mビット/秒(チップの理論値)という高速な通信速度が特徴だ。

PLC-Jのブース。モデムや電力線通信の現状を説明するパネルが展示されている

住友電気工業のモデム。デモでは電力線ではなく一般的な通信ケーブルを使用した。東京電力の実証実験で実際に使われているという


 PLC-Jによると、一番多い質問は「いつ使えるようになるの?」とのこと。ブースにはモデムがたくさん並んでいるが、実はまだここで展示されているモデムをユーザーが使うことはできない。

 これらのモデムは2M~30MHzという高周波帯域向けに作られているのだが、電波法によりこの帯域を使用できないからだ。今は 10k~450kHzの周波数帯域を使う低速通信だけが許可されている。新たな帯域を使うためには総務省が電波法を改正する必要がある。ただし、電力線から電波漏洩が起こるので、その帯域を使う他の通信(電波天文、航空・船舶の通信、アマチュア無線など)を妨害してしまう。このため、電波法改正を見合わせている。

 現在、この漏洩電磁波の低減を目的として実証実験が許可されているのでモデムメーカーや電力会社が続々と実験を実施中だ(2004年10月現在23社)。

 各社のモデムを解説する展示パネルには、漏洩電磁波への対策技術や実証実験による結果が一部紹介されていた。電力線通信を実施する場合、まずは家屋まで光ファイバーなどを引いて建物内の電力線を使って通信することが想定されている。電柱の電力線を使わないので、漏洩電磁波を抑える効果はかなり実用に近いレベルまで来ているとのこと。PLC-Jは今月末に実験データをまとめて11月には総務省に提出する予定。その後、PLC-Jや、電力線通信の影響を受ける側の通信関係者などを集めた研究会が設置され、技術基準や実施の可否が話し合われるという。

漏洩電磁波の対策をした結果を示したグラフ。対策前を示した青い線に比べて、対策後の赤い線ではノイズが低減できているのが分かる(三菱電機の実験データ)


(堀内 かほり=日経バイト)