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 指を強く押し当てると地図が高速にズームインし,力を緩めるとゆっくりに。指先に加える圧力を変化させることでパソコンを操作できるマウスを,ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が試作した。2005年6月10日に実施した同研究所のオープンハウスで披露した。

 「PreSence」と名付けられたこのマウスを試作したのは,ソニーCSLでインタラクションラボラトリー室長を務める暦本純一氏。「現在広く使われているマウスのボタンでは,押す/離すの二つの情報しか伝えられない。これでは,人間の指先が備えている敏感で繊細な感覚を十分に活用できない」(暦本氏)。そこでマウスの内部に感圧センサーを設計,指で加えられた圧力の強さや指の接触面積を検知できるようにした。「センサーには感圧プラスチックを使用した。金属を使ってボタンを作るよりも,構造的にはシンプル」(暦本氏)。また,同研究所が以前から開発していた,圧電素子を使った力覚フィードバック技術「TouchEngine」も盛り込んでいる。指先を押し当てると,実際に物体を押したような感覚が得られる。

 デモでは,PreSenceを使った地図のズーミングや音楽の曲目選択などが公開された。地図のズーミングでは,指先を押し当てた強さに応じてズームの速度が変わる。指先だけでなく指の腹の部分もマウスに押し当てると,ズームアウトできる。音楽の曲目選択では,指先の力に応じてスクロールの速度が変化した。

 オープンハウスではこれ以外にも,現在のコンピューティングが抱える問題を解決しようとする数々のデモが披露された。例えば,ネットワークが無線化されたことによる分かりにくさを解決するための技術。「無線は便利だが,何と何がつながっているかが見えないことが初心者には分かりにくさにつながる」(インタラクションラボラトリーの綾塚祐二アシスタントリサーチャー)。接続可能な場所や機器を敢えて限定することで,分かりやすくしようとする発表が二つあった。

 接続可能な機器を明示的に示すことで対処しようとしたのが,綾塚氏が開発する「tranStics」。ケーブルの差し込み口を模した同色のメモリースティックを二つ用意し,互いに同じIDとカギを持たせる。それぞれを別のデバイスに差し込むと,それらが自動的につながる。同色のメモリースティックが挿入されているもの同士がつながることが目で見て理解できる。


 一方,接続可能な場所を限定するというアプローチを採ったのが,西田佳史氏,塩野崎敦氏が開発する「Applying Spotlight Networking Technology to Ambient Spaces」。指向性の強いアンテナを複数配置して,無線接続が可能な場所をテーブルの中央部だけに限定する。ここにパソコンを置くと,ネットワークとつながる。例えば再生中の音楽が無線を通じてスピーカーに送られる。パソコンを持ち上げると,スピーカーとの接続が切れる。

(八木 玲子=日経バイト)