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 シャープとシャープヨーロッパ研究所は2005年7月14日,視野角を制御して2種類の画像を同時に表示する液晶パネル「デュアルビュー液晶」を発表した。右から見た画像と左から見た画像が異なるため,複数人で同時に別のテレビ番組を見たり,対戦型ゲームで異なる視点からの画像を表示して臨場感を高めるなどといった用途を見込む。今月から量産を始める。この液晶パネルを搭載したディスプレイは,今年の夏から秋にかけて出荷される予定。デュアルビュー液晶の価格は通常の液晶パネルに比べ数割アップするが,2倍にはならないという。

 デュアルビュー液晶は,通常の液晶パネルの前面に視差バリアと呼ぶスリットを設ける。右用の画像と左用の画像を水平方向に交互に並べ,視差バリアでバックライトの光を左右に分離してそれぞれの画像を映し出す。この表示方法は同社が2002年9月に発表した立体視ディスプレイと同じ。

 違いは,視差バリアの素材と作り込みの精度にある。立体視ディスプレイの場合,視差バリアは液晶で作っていた。液晶であれば,電圧のオン・オフにより液晶分子の向きを制御してスリットを作ったり消したりできる。こうして平面表示と立体表示を電気的に切り替えた。一方,デュアルビュー液晶の視差バリアはコストを下げるため液晶では作らなかった(素材は非公表)。通常のディスプレイとして使う場合は,隣り合う画素に同じ絵を表示する。このため,通常のディスプレイとして表示する場合も解像度は元のパネルの半分になる。

 視差バリアの作り込みが異なるのは,立体視ディスプレイとは光線制御の精度が違うからだ。立体視ディスプレイの場合,左用と右用の画像はわずかにズレた絵である。隣の画素に光が少しかぶってしまっても見え方にはあまり影響がなかった。しかし,デュアルビュー液晶の場合は左右の画像が全く異なるので,光が隣の画素に漏れてしまうと表示画像に大きく影響してしまう。

 原理的に,デュアルビュー液晶の解像度(水平方向)と輝度は元のパネルの半分になる。解像度は,右用と左用の画素が必要なため,輝度は視差バリアが入るためだ。ただ輝度については,バックライトの明るさを上げることで通常のディスプレイに近づけるという。

   同社は,視野角を電気的に切り替える液晶パネル「ベールビュー液晶」もあわせて発表した。ベールビュー液晶は,左右からのぞき込んでも,正面から見たときの画像は見えない。携帯電話やATMで,のぞき込み防止用に使う。パネルの構造は,通常の液晶パネルの前面に,バックライトの光線を制御する液晶が1枚加えたもの。制御用液晶で液晶分子の向きを変え,光を透過させる向きを制御する。正面方向のみに光を透過させ,左右方向には光を遮断するため,左右方向からみると黒い画面になる。ベールビュー液晶も今月から量産を開始する。価格は通常のパネルにくらべ数割アップする。

(堀内 かほり=日経バイト)