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図1 louisvuiton.comのWebサイト
このドメイン名は,現在WIPOの仲裁機関で紛争の対象となっている。有名ブランドのLouis Vuittonと1文字違いのこのサイトには,「我々は,ロールス・ロイスやフェラーリ並みの世界一高いミュールの卸業者だ。LouisVuiton Cupのスポンサーをしている」などの表記がある。たった一つあるリンクはGucciへのもの
 東芝やサンリオ,任天堂,日立製作所,ソニーコミュニケーションネットワークなど大手日本企業が,インターネットの「COMドメイン名」を,「サイバースクワッター(不法占拠者)」から続々と取り戻しつつある。

 サイバースクワッターはJTのケースのように,有名企業や著名人の名前にひっかけたドメイン名を先取りし,高額な金額での買収を要求したり,そのWebサイト上で企業のイメージを傷つけるような行為を働く(図1)。ドメイン名の移転・売買が可能で,登録者の国籍,属性などを問わない.com,.net,.orgなどのgTLDs(generic Top Level Domains)にサイバースクワッターは群がっている。

 サイバースクワッターの一例を挙げよう。Yoshiki Okadaと名乗るイスラエル在住の人物は,「jt.com」というドメイン名を日本たばこ産業(JT)に先駆けて取得していた。JTは1999年秋,Yoshiki Okadaへ「5000ドルでjt.comを譲って欲しい」という電子メールを送った。その返事は,「100万ドルでも足りないね」だった。

 JTによると,「当時はまだ仲裁制度が無かったので,一般的にはどのくらいの金額で譲ってもらえるかを調査して提案した」という。法外な値段を要求されて困り果てたが,今年に入ってWIPOに仲裁を依頼し,無事jt.comを取り戻した。「100万ドルでも足りない」という文面が悪意の証明となった。

 今年1月から,WIPO(世界知的所有権機関)をはじめとする四つの紛争処理機関(表A)に仲裁の申し立てをすれば,安価かつ簡易な手続きでドメイン名を移転できるようになった。

 これらの機関は,安価な料金かつ簡易な手続きで,gTLDsに関して紛争を処理してくれる。「裁定を待たずに移転を勝ち取った例も含めると,日本企業の勝率は8割」とJPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)の久保次三運営委員はいう。WIPOについてみると,9月6日現在で日本企業からの申し入れを26件受理している。この数はもっと増えそうだ。

井上 理=日経コンピュータ


表A インターネットを管理する非営利民間団体であるICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の「統一ドメイン名紛争処理方針(UDRP)」に基づいた紛争処理機関。件数は9月8日現在で各機関が受理した申し立ての数
(日経コンピュータ調べ)
機関名件数手数料 注)URL
WIPO(世界知的所有権機関,World Intellectual Property Organization) 1178件 1500ドル http://arbiter.wipo.int/domains/
NAF(全米仲裁協会,The National Arbitration Forum) 587件 750ドル http://www.arbforum.com/domains/
DeC(紛争解決連合,Disputes.org/eResolution Consortium) 145件 750ドル http://www.eresolution.ca/services/dnd/arb.htm
CPR(CPR紛争解決協会,CPR Institute for Dispute Resolution) 5件 2000ドル http://www.cpradr.org/ICANN_Menu.htm
注)1件の申し立てで,裁定を下すパネリストが1名の場合。この料金で,WIPOは5個,NAFは1個,Decは2個,CPRは2個までのドメイン名を対象にできる


■ より詳細な情報は,日経コンピュータ2000年9月25日号,32~35ページでお読みいただけます。