ゼネコン大手の鹿島は2月,Webと電子メールを組み合わせたEDI(電子データ交換)システムを稼働させる。建設工事の案件ごとに発生する膨大な書類を電子化して,インターネットを介して取引先とやり取りすることで,受発注業全体を効率化する。建設業界では見積もり関連だけでも,一つの案件ごとに40~50ページの書類をやり取りしなければならない。従来は,これらの書類をファクシミリや郵送でやり取りしていたため,コスト面でも,作業時間の面でも効率が悪かった。

 鹿島は当初,新日本空調など12社と「見積もり依頼」と「見積もり回答」のデータをインターネットで送受信する。2001年夏には「請求」や「支払い通知」などのデータを送受信する機能も追加する予定。年内に約200社との接続を目指す。

 鹿島の調達システムは,現場からの調達依頼から発注の承認に至る一連の社内業務を,イントラネットの電子メールとWebブラウザで処理する。例えば,現場の担当者が資材を調達する場合,まず「現場担当者からの調達依頼が届きました」という趣旨の文章と,依頼内容のデータを格納したURLを記載した電子メールが鹿島の調達担当者に送られてくる。そこで調達担当者が電子メール中のURLをクリックして,Webブラウザから依頼内容を確認する。そこで調達担当者が見積依頼先を指定すると,見積依頼書を暗号化した電子メールが,自動的に取引先に送信される。

 見積依頼に対する取引先からの回答も,暗号化された電子メールでが送られてくる。回答のメールが到着すると,「取引先から見積回答が届きました」といった趣旨の文章と,復号化した見積回答データが格納されているURLを記載した電子メールが調達担当者に届く。調達担当者は電子メールに記載されているURLによりWebブラウザで見積回答内容を表示して,別の取引先から見積回答と比較検討して発注先を決める。

 鹿島の調達担当者はイントラネットのWebブラウザ画面上で一連の業務を処理する。取引先との電子メールによるデータのやり取り(インターネットEDI)は,その裏で調達システムが自動的に行っている。

 鹿島は今後,ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスとして,他の建設業者向けにEDIシステムの機能を提供することを検討している。「EDIによる取引先が増えて,取引高全体の8割程度にまで増えないと,当社が享受できるメリットも小さい」(櫻井曉悟ITソリューション部担当部長)と考えているからだ。鹿島の取引先は約3600社。ASPサービスを安価で提供することによって,将来的には,これらすべての取引先とEDIによる受発注を展開したい考えだ。

栗原 雅=日経コンピュータ