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 全国農協の金融事業を束ねる農林中央金庫は,このほど次期IT戦略をまとめた。「農協系金融機関のサービス・レベルの底上げと統一化を図る」(農林中央金庫の鳥井一美組合金融第一本部業務開発部副部長)ことを目指して,各都道府県にある農協系金融機関の情報系システムの基盤を共通化する。今春から新システム開発作業を順次開始する。農協系金融機関はそれぞれ個別にシステムを構築しており,システム・レベルの格差が大きいという問題を抱えており,農林中金は2000年7月から30人規模の専門組織で,次期IT戦略を立案してきた。

 農林中金が策定した次期IT戦略の柱は,インターネット・バンキングや,CRMシステムなどの拡充である。農林中金はNTTデータと共同でインターネット・バンキング用システムを開発を進めており,2001年11月にも稼働させる。このシステムの利用を,各農協系金融機関に呼びかける。CRMシステムについては今春から「必要な機能を洗い出し,アプリケーションの仕様を決めていく」(鳥井副部長)。

 このほか,次期IT戦略には,今後導入するATM(現金自動預け払い機)の仕様も盛り込んだ。動画や音声を扱うマルチメディア機能を備え,ICカードの利用も可能な機種の導入を推奨する。「具体的な機種やメーカーは,各農協系金融機関の判断に任せる」(鳥井副部長)。同様にCRMシステムに関しても,「導入するパッケージ・ソフトは指定しない」(同)。

 このように農林中金の次期IT戦略は,アプリケーションの仕様面が中心になる。個別のハードウエアやソフトウエアは限定しないため,システムの運用管理の手間がかかる恐れもある。この点に関して,農林中金は「各県の農協系金融機関に,システムの共同開発や共同利用を呼びかけ,できる限りハードウエアとソフトウエアを統一する」(鳥井副部長)としている。

 今回のIT戦略策定に先立って,農林中金は勘定系システムの共同利用を推進している。農林中金は1999年10月に,800億円を投じて,勘定系システム「JASTEM」を構築済みだ。全国各県の農協系金融機関は2006年3月までにJASTEMの利用を始める計画である。すでに滋賀と高知の二つの農協系金融機関が,JASTEMを利用している。

戸川 尚樹=日経コンピュータ