韓国のセミナーで挨拶する東証の土田理事長 東京証券取引所は4月9日,同取引所主催では初の海外企業向けセミナーを韓国・ソウル市で開催した。新興企業向け市場のマザーズへ韓国ベンチャー企業を上場させるのが狙い。東証が海外企業の誘致に本腰を入れた証拠であると同時に,日韓新時代の幕開けを予感させるものでもあった。

 東証の土田正顕理事長は今回のセミナーを,「資本市場でも日韓が協調していく新時代に入った。今回のセミナーは両国関係にとって歴史的なものだ」と表現する。セミナーでは,100社を超える韓国のベンチャー企業関係者に向けたマザーズの概要を紹介したほか,「韓国企業が日本市場で成功するための投資家対策について」と題した講演をした。

 その後のレセプションでは,東証の土田理事長をはじめとする同取引所幹部のほかに,野村証券や大和証券SMBCといった有力証券会社,韓国証券取引所理事長,韓国の店頭株市場にあたる「Kosdaq」の社長など,両国株式市場の大物が顔を揃えた。韓国Kosdaqの姜打鎬(カン・チュンホ)社長は,「今回の東証主催のイベントは,両国資本関係にとってブレイク・スルーの役割を果たす」と,期待感を語った。

 1999年11月から取引を開始したマザーズは,その1年後の昨年11月,海外に本拠を構える企業でも上場できるよう制度を変えた。その初事例として「プライオリティはナンバー1だ」(東証の土田理事長)という韓国で,初の海外企業向けセミナーを開催したわけだ。

 韓国を重視する理由について東証の土田理事長は,「昨年11月,海外企業にマザーズへ門戸を開放したところ,一番関心が高かったのが韓国ベンチャーだった」と説明する。加えて,「北東アジア圏での情報技術を中心とする動きが活発になってきている。なかでも韓国の証券市場とは,昔から情報交換などの交流関係があった。時差もなく距離も近いことから,最優先に協力関係を緊密にする必要性がある」という。

 すでに水面下では,引受先となる日本の証券会社や東証の上場審査部などが活発に動いている。「今年末にもマザーズ海外企業の第1号が韓国から出そうだ」(東証の土田理事長)。今のところ東証は,韓国以外の国で同様のセミナーを開催する予定はないという。

ソウル発,井上 理=日経コンピュータ