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米ピープルソフトのコンウェイCEO ERPパッケージ(統合業務パッケージ)・ベンダー大手の米ピープルソフトのクレイグ・コンウェイCEO(最高経営責任者)が日経コンピュータ記者と会見,今後の戦略を語った。コンウェイCEOは,「6月末から出荷するCRM(カスタマ・リレーションシップ・マネジメント)用ソフトの新版「PeopleSoft 8 CRM」は,当社のERPパッケージであるPeopleSoft 8と完全に統合している。このため,PeopleSoft 8 CRMは,PeopleSoft 8とあたかも同一のソフト製品のように密接に連携し,リアルタイムにデータをやりとりできる。この特徴を生かして,PeopleSoft 8 CRMとPeopleSoft 8を拡販していく」と語った。

 今回,ピープルソフトはこれまで販売していたCRMソフト「Vantive Enterprise」を,PeopleSoft用の開発・実行環境である「People Tools」上で,全面的に作り直し,製品名を改称した。この結果,CRMソフトもERPパッケージも,同一の実行環境で動く。コンウェイCEOのいう完全な統合とはこの点を指している。

 PeopleSoft 8と同様に,PeopleSoft 8 CRMはWebブラウザからすべての機能を利用でき,クライアント・パソコン上に専用ソフトをインストールする必要がない。サーバー上でPeopleSoft 8 CRMを集中管理できるため,「CRMシステムでは頻繁に発生する機能の変更や追加といったシステム担当者の作業負担を大幅に軽減できる」(コンウェイCEO)。

 PeopleSoft 8 CRMは,営業支援用の「Sales」,販売用Webサイトを構築するための「Interaction Management」,保守サービス業務向けの「Field Service」,など六つのモジュールから成る。これらのモジュールを使ったシステムは,PeopleSoft 8で構築した基幹業務システムと相互にデータをやりとりする。

米ピープルソフトのグプタ エグゼクティブ・バイス・プレジデント 例えば営業担当者がSales上で受注データを入力すれば,PeopleSoft 8で構築した販売管理システムにリアルタイムでデータが流れる。Interaction Managementを使えば,「ユーザー企業の顧客に対して,Webサイト上で,PeopleSoft 8が保持している製品の在庫や出荷状況をリアルタイムに提示できる」(製品開発担当のラム・グプタ エグゼクティブ・バイス・プレジデント)。Field Serviceは,PeopleSoft 8の人事モジュール上のデータをもとに,保守サービス案件の内容に応じて,保守担当者を自動的にアサインする機能を備える。

 ピ-プルソフトとERPパッケージ市場で競合する独SAPや米オラクルも,ERPパッケージだけでなくCRMソフトを投入している。この点についてグプタ エグゼクティブ・バイス・プレジデントは,「競合他社は製品の名称を統一しているだけ。ERPパッケージとCRMソフトが同一のアーキテクチャ上で動いているのは,当社の製品しかない。SAPやオラクルのERPパッケージとCRMソフトとの統合度合いは低く,データを相互に連携させる仕組みを作るのには手間がかかる」と述べた。さらに,「競合他社の製品は完全なインターネット対応製品とはいえない」という。

 CRM市場で先行する米シーベルに追いつくため,「PeopleSoft 8 CRMの価格をシーベル製ソフトよりも安くする」(コンウェイCEO)。料金体系は,ユーザー企業の売上高に応じて決める。ユーザー・ライセンスによる料金体系にしないのは,「顧客へのコスト負担が大きくなる傾向が高くなるため,製品を普及させるためにはよくないと考えている」(グプタ エグゼクティブ・バイス・プレジデント)。

 CRMの新版の投入で,ERPパッケージだけでは獲得できなかった新規のユーザー企業を開拓し,「さらなる飛躍を目指す」(コンウェイCEO)。さらに,既存のPeopleSoftユーザーに対しても,PeopleSoft 8へのバージョンアップの機を見計らい,PeopleSoft 8 CRMを売り込んでいく。

 ピープルソフトは1999年には莫大な赤字を計上し,買収がささやかれるなど存亡の危機に陥っていた。1999年末にコンウェイ氏がCEOに就任するなど経営再建を図り,最近になって業績は回復している。2001年3月期の売上高は過去最高の5億300万ドル(約600億円)を達成し,前年同期比で34%伸ばした。純利益は3600万ドル(約43億円)で,前年同期比の2倍以上になっている。

 好調な業績を支えている最大の理由が,「PeopleSoft 8の成功である」(コンウェイCEO)。社運をかけて,1998年から2000年までの2年間の歳月と10億ドル(約1200億円)を投じて開発した。PeopleSoft 8は,「すでに2000社以上からの受注を獲得し,100社がPeopleSoft 8を稼動させている」(グプタ エグゼクティブ・バイス・プレジデント)。出荷してから1年足らずで,PeopleSoftの全顧客企業約5000社のうち,40%近くを占めるまでになった。

戸川 尚樹=日経コンピュータ,米ラスベガス