顧客に画像を選んでもらうと,その画像をTシャツにプリントして提供する――日立製作所が,この一連の作業を支援するユニークなASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスを本格化した。同サービスの対象は,DPE(写真の現像や焼き付けなど)受付店舗。Tシャツやインクなどの材料メーカー,プリント工場が協力している。日立は,各社を連携するシステムを構築・運用するとともに,プリントに使用する画像データを管理する。日立はこのASPサービスで,「最低ラインで年間5億円程度の売り上げを見込む」(日立製作所関西支社の田林啓二ECソリューション営業センタ長)。

 このASPサービスの流れは以下のようになる。まず顧客はDPE受付店舗で,Tシャツへのプリント・サービスを注文する。プリントする画像は当面,カタログから選ぶ形をとる。次にDPE受付店舗は,この注文データを日立側のシステムに送信する。システムは,日立のSCM(サプライチェーン管理)ソフト「HITALPHA3」をASPサービス用に作り直したものだ。

 注文を受け取ったシステムは,Tシャツメーカーに材料の出荷を要求するとともに,プリントに使用する画像データをプリント工場に送信する。プリント工場では,入荷したTシャツに受信した画像データをプリントし,物流会社を経由してDPE受付店舗へ配送する。料金は,Tシャツ代込みで2300円前後。注文から配送まで現在は4~7日かかる。将来は2~3日に短縮したいという。

 このサービスの特徴は,着物の染色技術を応用した特殊な技術を利用していること。同技術は,京都の染色会社が前身のディー・ファッション(http://www.d-fashion.com/)が開発した。「インクの粒子を繊維の隙間に閉じ込めてプリントすることで,色落ちやひび割れを防いだ。従来の衣類へのプリントは,インクを糊付けしているだけ。表面の触り心地が全然違う」(ディー・ファッションの一筆芳巳社長)。日立グループはディー・ファッションに11.22%出資している。このほか,富士フィルムビジネスサプライ,フジカラー販売,フジカラーサービス,ナニワ商会などが協力している。

 日立は,プリントに使用する画像データの著作権保護やセキュリティ管理に配慮している点を強調する。「貴重な画像データを横取りされないように,電子透かしで不正コピーを防ぐ。画像の送受信にはSSLを使い,画像の盗み見対策も施す。さらに,元の画像データが著作権を侵害していないという“信頼性”を保つために,画像データを登録できるASP会員の審査を厳格に実施する」(日立製作所全国システム統括本部関西第三システム部の阿部芳三主任技師)。

大和田 尚孝=日経コンピュータ