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 ソニーは同時配信技術のマルチキャストを使って,「ビデオ・オン・デマンド(VoD)」を擬似的に実現する新型配信サーバー「MAGNACAST」を10月1日に出荷する。動画コンテンツを複数のパートに分割して,各パートを別々に繰り返し配信する。ユーザーが動画コンテンツの閲覧を要求すると,専用クライアント・ソフトが分割されたパートの最初の部分から順番に再生を始める。あるパートの再生中にバックグラウンドで,続くパートを受信しておくことで,最初から最後まで途切れなくコンテンツを再生できる。

 コンテンツの分割は,ネットワークの想定帯域やコンテンツの長さに応じて,MAGNACASTが自動的に行う。2時間程度の動画コンテンツの場合は,26程度のパートに分割して,配信する。

 MAGNACASTはコンテンツの序盤ほど,短時間のパートに分割する。短時間のコンテンツを繰り返し配信するので,「ユーザーが閲覧要求を送信してから,30秒程度で動画の再生が始める」(ソニー 通信サービスカンパニーの竹澤正行e-ソリューション部ネットワークビジネス課エンジニアリングマネジャー)という。再生開始までの時間は,設定によってさらに短縮することもできる。

 MAGNACASTはLinuxを搭載したパソコン・サーバー(コンパックコンピュータ製)に必要なアプリケーションをインストールした「アプライアンス・サーバー」として提供される。価格は,3000ユーザーへの同時配信が可能なモデルで2000万円。主にISPや動画配信サービスを提供する企業向けにMAGNACASTを販売する。

 マルチキャストはクライアント数が増えてもネットワークの帯域やサーバーのリソースを圧迫しないメリットがある半面,テレビ放送と同様に決まった時間にユーザーが閲覧しなければならない欠点があった。ソニーのMAGNACASTは,こうした欠点を解消する。現在,マルチキャストが利用できるISP(インターネット・サービス・プロバイダ)は多くないが,ソニーの竹澤エンジニアリングマネジャーは「ネットワークやサーバーの負荷を考えれば,動画配信には今後マルチキャストを使用せざるを得なくなるだろう」と予測する。

坂口 裕一=日経コンピュータ