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 「スコット・マクニーリは,なんとしても日本へ行きたいと言っておりましたが,米サン本社のセキュリティ・オフィスが絶対ダメだと許可しませんでした。日本の皆さんに申し訳ないと伝えて欲しいとのことです」。10月4日10時30分,ハイエンドサーバーSun Fire 15K(開発コード名Starcat)の発表会の冒頭,米サン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリ会長兼CEO(最高経営責任者)の来日中止について,日本法人はこう説明した。

 4日の発表会に向けて来日する予定だったマクニーリ会長の訪日中止が,報道陣に知らされたのは直前の10月2日だった。その理由は,「米国務省公報によるWorldwide Cautionの深刻化と,米国における諸事情」(サン日本法人)というものである。

 ただし,10月1日の週は,UNIXサーバーでサンを猛追する米IBMのルイス・ガースナ会長兼CEOが来日し,講演会などに出席していた。9月中旬にも,IBMのサミュエル・パルミサーノ社長兼COO(最高執行責任者)が来日し,顧客向けにスピーチしている。サンとIBM製品をともに使っている大手金融機関の幹部は,「ガースナ氏もパルミサーノ氏も来たのに,なぜマクニーリ氏は来ないのだろうか」と首をひねる。

 こうした疑問が出ると予想したためか,サン日本法人は4日の会見の冒頭,「IBMのガースナ会長が日本に向けて出発した直後,米国のセキュリティ基準が一段と厳しくなり,マクニーリはそれにひっかかってしまいました」と説明した。確かに米国の情勢は緊迫の度合いを強めている。

 業界関係者の間では,サンの業績に急ブレーキがかかっていることが来日中止の真因とする見方もある。日本サンの菅原敏明社長は,こうした見方を一笑に付す。「確かに直近の四半期は赤字になる見通しだが,サンは70億ドルものキャッシュを持っている。資金繰りに窮しているだの,身売りだの,まったくもって事実無根の噂に過ぎない」(菅原社長)。

 一方,日本IBMは4日の午後1時から記者会見し,ハイエンドUNIXサーバーe server pSeries 690(開発コード名Regatta)を含む,各種のサーバー製品や将来構想を発表した。サーバー製品事業を統括する小出伸一理事は,冒頭の挨拶とIBMのサーバー将来計画である「Project eLiza(イライザ)」を正式に説明するにとどめ,個別の詳細説明はUNIXサーバーとIAサーバーの責任者に任せた。マクリニーリ会長の来日中止で,“不戦勝”と判断したとみられる。

谷島 宣之,玉置 亮太=日経コンピュータ