文部科学省が管轄する国立情報学研究所(http://www.nii.ac.jp/)は1月9日,国内11カ所の大学や研究機関を高速接続する新しいネットワーク「スーパーSINET」を稼働させたと発表した(写真)。新しいネットワークは,通信に使う光信号を電気信号に変換しないで光のまま経路を変更できる光クロスコネクト装置を利用,拠点間で最大10Gビット/秒の高速通信を実現する。稼働開始日は1月4日で,これまで順調に動作しているという。

 基幹部分のネットワークは日本テレコムが提供している。拠点間で10Gビット/秒の通信速度を達成したのは珍しい。日本テレコムは「ここでの運用ノウハウを商用サービスの開発にも生かしていきたい」としている。光クロスコネクト装置は米ルーセントテクノロジー製で,東京,名古屋,大阪に設置した。

 高速ネットワークの完成は学術研究を進める上で大きな意味を持つ。例えば,国内の大学にある複数のスーパーコンピュータを相互に接続して計算処理を分散することで,より高速な計算を可能にする。現在はナノテクノロジー分野のシミュレーションに利用することが検討されている。

 ほかにも天文学分野では,国内にある電波望遠鏡を高速ネットワークに接続する研究が進められている。国立天文台の近田義広教授は,「複数の電波望遠鏡で得たデータを集めて処理することで,感度を3倍程度にまで上げることができる。これにより観測できる天体の数は現在の300倍にも増える」と説明する。

坂口 裕一=日経コンピュータ