「NTT-BBやIIJなどがコンテンツ配信代行事業に参入してくるが,通信事業者が簡単に参入できるほどこの業界は甘くない」。こう警告するのはJストリーム(http://www.stream.co.jp/)の白石清社長。同社は映像や音楽などのコンテンツ配信代行事業を5年前から手がける,この分野の老舗だ。
 
 白石社長は,新規参入企業の多くが,コンテンツの利用者に課金するビジネス・モデルを採用していることに疑問を投げかける。新規参入他社は「ブロードバンド・ユーザー向けのコンテンツならば,質的に課金の対象になる」とみている。白石社長は,こうした認識には同意するが,「今のブロードバンド・ユーザーの数を考えると,到底採算ベースには乗らない」と指摘する。Jストリームの場合,ブロードバンド・ユーザーの利用数は全体の15%程度。そのため同社は配信元のコンテンツ(主に広告など)を提供する企業から料金を徴収している。

 白石社長は,コンテンツ課金のビジネス・モデルが成立する時期を「地上波デジタルが始まる来年以降」とみる。「地上波デジタルが始まれば,消費者は地上波デジタル用のテレビに買い換える。そのときには地上波やBS,CSと同じテレビで,チャンネルを変える感覚でインターネット放送が見ることができるようになる。TV放送と同じ土俵に立つまでは,ユーザーがついてこない」(同)と予測する。

 このほか白石社長は,「新規参入企業はインターネットに配信できる環境を整える技術や知識をもっている顧客は多くない,という事実を知るべきだ」と忠告する。顧客がコンテンツをビデオ・テープを持ち込んできた場合,配信方法を検討したり,画像をインターネットに流せる形式に変換するなどの総合的なコンサルティング・サービスを提供する「プロによるワンストップ・サービスが必要」(同)と語る。

 なおJストリーム自体もまだ赤字。2001年4月~2001年12月までの3四半期で2100万円の営業損失を計上している。「2002年3月の通期では黒字に転換する見通し」(白石社長)という。

鈴木 孝知=日経コンピュータ