PR

 「三越のお得意様は,ほかの百貨店で買い物をするといった“浮気”をすることが少ない。こうしたお得意様の期待に,商品数やサービス力で応えることが目的だ」。三越 経営推進室経営企画部の赤松憲システム統括部長は,同社が4月から稼働させる顧客情報システム「LTASS」を構築した狙いをこう話す。

 三越には従来から,「お得意様営業部」という組織がある。1年間の商品購入金額がある金額を上回る得意顧客を相手に,担当者が店内を一緒に回って商品の案内をしたり,得意顧客からの要望を伺ったりする。この組織がLTASSを使うことで,得意顧客向けのサービス強化につなげようというわけだ。

 LTASSを使えば,担当者が入力した顧客に関するデータを基に,得意顧客の買い物を生涯にわたって,百貨店全体で支援できるようになる。「あのお客様は前回スーツを購入するときに,黒と紺で迷った結果,黒を購入した。次回は紺をお勧めしよう」,「このお客様は赤いランドセルを購入したので,6年後には中学校のセーラー服の案内状を送ろう」といったことも可能になるわけだ。

 一方で従来は,得意顧客の趣味や色の好み,飼っているペットのことなどを,担当者が手帳にメモしていたという。ところがこれだと,「担当者が異動した場合に,お得意様の情報をスムーズに引き継ぐことができない」(赤松システム統括部長)という問題があった。

 将来的はLTASSを進化させて,「○△市に住んでいる30才代のお得意様は,このメーカーの時計を購入することが多い」という具合に,「お得意様と商品との相関関係を検証することまでも実施していきたい」(赤松システム統括部長)という。

 LTASSはUNIX上で自社開発した。商品の購入データは基幹系システムから抽出するなど,できるだけシンプルに作り上げた。「今後システムを拡張させていくと同時に,CRMパッケージの適用も考えていく」(赤松システム統括部長)。LTASSはひとまず,京浜地区の4店舗で使用する。

大和田 尚孝=日経コンピュータ