NTTと角川書店は3月30日から,インターネットを介してブロードバンド専用シネマ(Webシネマ)をストリーミング配信する実験「Vi!Click」を開始する。実験期間は5月31日までの2カ月間。実験に参加できるのは,NTT東西地域会社の「Bフレッツ」もしくは「フレッツADSL」の加入者のうち,東京都と大阪府の約21万6000回線(2002年1月末現在)。実験中の視聴料金は無料。

 Webシネマの特徴は,視聴者との間に双方向性を実現したこと。Webシネマには,映画本編の映像に加えて,双方向性を実現するための“仕掛け”として,サブコンテンツが含まれている。サブコンテンツの利用方法はこうだ。例えば建物の廊下が映し出された場面で,いったん映像を一時停止させる。視聴者は建物の間取りを表示するサブコンテンツを呼び出して,マウスの操作どおりに建物の中を表示させる--。

 NTTサイバーソリューション研究所が開発した技術を使って実現したWebシネマは,作品の制作側にも,それまでの映画とは違ったメリットをもたらす。それは,本来であれば作品から切り落とされるシーンを,サブコンテンツとして盛り込むことができる点だ。「作品の収録時間をめぐって,『これ以上は削れない』という監督の意見と,『あと数分削ってもらわないと困る』というプロデューサーの意見が衝突することがよくある」(角川書店の角川歴彦社長)。こうした場合に「制作者の“思い入れ”を,より多く楽しんでもらえる」(映画監督の明石知幸氏)。

 Webシネマを視聴するには,専用サイト(http://www.vi-click.com/)から申し込む。今回配信する作品は,小池真理子原作の「命日」と,五十嵐均原作の「セコい誘拐」。監督は両作品共に明石知幸氏。NTTと角川書店は,実験を通じて視聴のされ方を分析すると共に,収益性についても検討を重ねていく。ただし,実験後の商用化スケジュールは,「現時点では未定」(NTTサイバーコミュニケーション総合研究所の白川英俊所長)。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)