第一製薬が独SAPのERPパッケージ(統合業務パッケージ)「R/3」を使って新基幹系システムを構築,4月1日から全面稼働させる。FI(財務会計),CO(管理会計),SD(販売管理),MM(在庫/購買管理)など,R/3の10モジュールを一斉導入し,全基幹業務をカバーする。製薬業界ではR/3の導入事例が多いが,全業務にR/3を適用するケースは珍しい。

 ハード,ソフト,開発費用を合わせたシステム総投資額は約40億円。システム開発を2000年5月に開始し,「予算内でスケジュール通りに開発を進めることができた」(宮川グループ長)としている。今後は10モジュールに続いて,HR(人事管理モジュール)を2003年1月から動かす計画。

 第一製薬は新システム構築にあたって,すべての業務プロセスを見直した。業務改善により全社員3800人のうち「社員100人相当のマンパワーを削減できる」(第一製薬の宮川達朗情報企画推進部統括グループ長)と見込んでいる。新システムによって決算データの作成スピードも向上させる。これまで15日間かかっていたが,これを9日間に縮める。さらに製品在庫の保有日数を短縮し,「従来の5カ月間を“業界標準値”の3カ月間にもっていく」(同)。

 合計11モジュールのうち,製造指図や作業指示,作業記録といった生産管理の機能を備えた製造実行管理モジュール「PP-MES」は,「当社が世界で初めて導入したモジュール。先行事例はなかったが,当社には必須の機能と考えた」(第一製薬の小林真哉情報企画推進部企画推進グループ主任)という。

 PP-MESは機能面で不足している部分もいくつか見つかった。これについては,第一製薬の担当者が独SAP本社に出向いて機能強化を要求。これにより,PP-MESは「おおかた当社の要求どおりに,機能を追加してもらった」(宮川グループ長)という。

 R/3システムの開発は,東洋ビジネスエンジニアリング(http://www.to-be.co.jp/)や富士通など数社に委託。運用管理は富士通にアウトソーシングする。R/3システムは富士通のUNIXサーバー「PRIMEPOWER2000」で動かす。富士通の運用管理ソフト「SystemWalker」と,BMCソフトウェア(http://www.bmc.com/japan/)のR/3専用運用管理ソフト「PATROL for R/3」を使う。PATROL for R/3は,「R/3の稼働状況や応答速度を監視する機能が優れており,SystemWalkerの機能を補う格好で使う」(小林主任)という。

戸川 尚樹=日経コンピュータ