「業務革新を推し進めるには,システム刷新とともに,業務プロセスの見直しが必要だ。どちらが欠けても,効果は半減してしまう」。日立電線の小川清 業務革新推進センタ長は,こう断言する。日立電線は2002年6月,電気用伸銅品の販売予測から生産計画までを管理する新システムを全面稼働させる。目的は,同社の土浦工場で生産している伸銅品の納期を「従来の28日から,半分の14日に短縮すること」(小川センタ長)。そのためシステムの刷新だけでなく,業務プロセスの改革も断行した。

 電気用伸銅品とは,電気銅という素材を加工して製造する工業用部品である。従来の納期の28日のうち,注文を受注してから製造を開始するまでに,最長で2週間のタイムラグがあった。「工場は受注してもすぐに生産計画を立てず,1週間分注文を蓄積させた上でそれらを組み合わせて,1週間先の計画を作っていた」(小川センタ長)からだ。工場の生産効率を高めるため,同種の製品をまとめて生産できるように,注文を溜め込んでいたわけだ。

 6月に稼働する新システムでは1日に2回,注文を生産計画に反映させる。ただしこれだけでは,工場の生産効率が低下するおそれがあるので,3カ月先までの販売予測を立て,事前に生産計画を立て始めることにした。受注する前に生産計画を作り始めることで,従来通りの生産効率を確保しようというわけだ。

 販売予測はまず過去3年の販売実績を基に,コンピュータではじき出す。さらに予測の精度を高めるため,営業担当者が営業活動の結果を基にして,予測情報に修正を加えていくという業務フローを作った。「今年は冷夏だから例年よりも売れ行きが落ちるだろうという具合に,正確な販売予測には今を生きる営業の智恵が欠かせない」(小川センタ長)ためだ。営業担当者は,販売予測を通じて新システムに協力することで,納期の調査や在庫の調整から開放されることになり,「本来の営業活動に専念できる」(同)。

 さらに製造工程を見直し,工場の現場作業を改革することで,目標通り納期を2週間短縮できるメドが立った。

 日立電線は今回,電気用伸銅品の顧客や営業担当者を対象に“納期がどのぐらいであれば満足か”というヒアリングを実施した上で,納期目標を14日とした。「納期短縮は顧客のために行うもの。どの程度短縮すればいいのかは,顧客に聞くべきだ」(小川センタ長)。例えば納期を5日短縮しても,顧客が満足しなければ無意味だ。逆に膨大なコストをかけて翌日納品を実現しても,それを顧客が求めていなければ投資対効果は上がらない。

 新システムは販売予測,在庫補充,生産計画,納期回答の四つのサブシステムからなる。各サブシステムが連携して「生産計画に基づき,リアルタイムで正確な納期を算出できる」(小川センタ長)。回答した納期の順守率を従来の80%から100%順守に高められるという。新システムは2001年5月から約1年で構築した。新システムは,Webサーバー(Windows NT)1台,自社開発アプリケーションを動かす3台のアプリケーション・サーバー(Windows2000),Oracle8を使った2台のデータベース・サーバーで構成する。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)