「企業のIT部門は従来の中央集権型の組織だけでなく,事業部や部門単位に権限を委譲する“連邦型”の組織が台頭しつつある」。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS,http://www.juas.or.jp/)が4月19日に発表した「企業IT動向調査2002年度版」で,IT部門の組織形態が多様化している現状が明らかになった。この調査は,企業のIT化と,ITが企業経営に与える動向を調べたもので,国内のユーザー企業約900社を対象に実施した。

 JUASは今回の調査の中で,IT部門の形態を「中央集権型」,「分散型」,「連邦型」の三つに分類し,どの形態に当てはまるかを各企業に聞いた。中央集権型は全社のIT部門がシステム構築に関するすべての決定権を持つ形態,分散型は各事業部門に独自のIT部門を置く形態,連邦型はIT部門と関連部門がIT化に関する権限を分け合う形態である。

 調査の結果は,中央集権型が71%,分散型が10%,連邦型が19%だった。従業員1000人以上の大企業に限って見ると,順に64%,8%,28%となり,連邦型の組織形態が3分の1近くを占めた。「連邦型は今回から質問項目に追加したものだが,実際に調べてみると意外に多いので驚いている」(JUASの細川泰秀常任理事)。JUASによれば,連邦型は具体的には「ERPパッケージ(統合業務パッケージ)の導入など,全社にかかわるシステムについてはIT部門が決め,CRM(顧客関係管理)など特定の戦略に基づいたシステムは関係部門単位で決定する組織体制」(同)という。

 このほか今回の調査では,IT部門と現場の利用部門との間で,導入したシステムについての評価に大きな差があるという興味深い結果も出た。例えば「IT投資案件に経営戦略や利用部門の要望が十分に反映されているか」という質問に対し,「十分実現している」および「実現している」と答えたのは,IT部門で約半数の47%だったのに対し,利用部門ではわずか12%だった。

 この結果を受けてJUASの三木徹企画担当部長は,「企業は現場の意見に耳を傾けることが重要課題だ」と指摘する。「今後,各企業がより実用的なIT化を進めるには,現場の意見を取り入れる仕組みづくりが欠かせない」(同)。

松浦 龍夫,島田 優子=日経コンピュータ