「建設業界では,電子商取引がなかなか浸透していない。そこで当社と取引がある協力会社が,業界標準のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスを使って当社と見積もり依頼や契約データをやり取りするための,新しい電子契約システムを導入した」。こう語るのは,大林組東京本社IT戦略企画室の杉山直 室長である。

 大林組は5月8日に,建設業界の企業間電子商取引に特化した標準ASPサービス「CI-NET ASPサービス」と連動できる新しい電子契約システムを導入したと発表した。「2002年度末までに,現在定常的に取引のある約5000社の協力会社のうち,約1000社との間で新しいシステムを利用して契約を進められるようにしたい」と,杉山室長は意気込む。

 CI-NET ASPサービスは2002年2月から,大林組,鹿島建設,清水建設,竹中工務店の大手ゼネコン4社が共同で開発しているASPサービス(http://www.construction-ec.com/visitor/v_ci-net/v_ci-net.html)。2002年8月にサービス開始予定だ。建設業界のEDI(電子データ交換)の標準規格である「CI-NET LiteS」の最新版を実装している。CI-NET ASPサービスの運用は,大林組などの大手ゼネコンやNTTデータなどが共同で設立したコンストラクション・イーシー・ドットコム(http://www.construction-ec.com/visitor/v_top/index.html)が担当する予定である。

 大林組は取引先である協力会社と契約データをやり取りするための受け口として,新しい電子契約システムをCI-NET ASPサービスの開始に先行して導入した。大林組によると,CI-NET ASPサービスに対応した電子契約システムを導入したのは,同社が初めてだという。「CI-NET LiteS」の最新版を実装したシステムを独自に導入する協力会社とは,ASPサービスを使わずに直接,契約データをやり取りできるようにしていく予定だ。

 新しい電子契約システムは,NECと共同で開発。NECの建設業向けEDIパッケージ・ソフトである「C-TRADE」を採用した。新システムは,電子契約データの原本性を確保する専用のデータベースを持ち,大林組の現場担当者が利用する見積もりシステムや原価管理システムなどとデータをやり取りできるようにした。

 大林組は,協力会社向けに説明会を開くなどして,電子契約システムを使った見積もりや契約への移行を促す。「注文請け書に貼付する印紙代が不要になることや,業務の効率が向上するというメリットを協力会社にアピールしていくことで,電子契約システムを普及させていきたい」と,杉山室長は語る。

(西村 崇=日経コンピュータ)